漆器ができるまで 1:木地 vol.0

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中国では1か月でできてしまう漆器。
国産でも3か月でできてしまう漆器。
でもほんとうは、もっと時間がかかります。
なぜそんなに時間がかかるのか。
かかる時間の違いで、どういう差があるのか。
一連の工程を通して、ご紹介していきます。
漆器の工程は、大きく3つに分かれます。
木地、下地、塗りです。
他には蒔絵などの加飾や、亀甲などの細工があります。
レアケースの紹介は後回しにして、まずは木地。

漆器は、木からできています。
木を切るところから始まります。

木を切るといっても、さまざまな切り方、木取りの方法があります。
山中では、縦木取り(たてきどり)が多いです。
上の画像は、うちにある、木取りの見本です。
左奥が原木で、時計まわりに、切って挽いていき、
手前の粗挽き(あらびき)になります。

もうひとつの方法に、ご想像通り、横木取りがあります。

その違いをご説明しましょう。

森林資源や環境について取り沙汰されることが多いです。
漆器の材料となる木も、確保することが難しくなっています。
難しくなっているということは、価格が下がりません。

価格が下がらないと、漆器屋はどうするか。
何十年も木を育つのを待たず、若い木を伐採してしまいます。
効率、生産性、といったビジネスの基本に適っています。

実際に、山中漆器として市場に流通しているものでも、
山中の漆器屋が他の産地や外国で生産したものがあり、
そうしたお盆やトレイなどは、例外なく横木取りです。

若い木、つまり年輪の少ない、直径の細い木では、
大きなお盆やトレイを作ることができません。
そこで、横木取りというわけです。
縦木取りと横木取りの違いは、こんな感じです。


なぜ縦木取りのほうが良いかというと、
最大の理由は、変形しにくいからです。
がたつくトレイやお盆などは、間違いなく横木取りされたものです。

一般的に流通している木の板は、ほとんどが横木です。
なので、反ったりします。
あのような板でお盆やトレイを作ると、同じように反ってしまいます。

横木で切ると、板の縁にあたる箇所が、
年輪の内側から外側に動こうとします。
それが変形をもたらします。

縦木取りなら、そのような変形は起こらないのです。

私の作る漆器は、商品点数約200のうち、
199商品が縦木取りした材料です。
横木を使う場合は、発注者にその旨を伝え、
商品説明のときにも必ず明記しています。

ほんの数年で伐採した木なら、
それで作った器も数年使うことができればいいという、
その程度の商品で良いのかもしれません。

でも、何十年も育った木を切るということは、
その木が育った年月よりも長く、
愛用できる商品を作らなければならないと私は考えています。

次回は、粗挽きと、それをどうするのかをご紹介します。
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