漆器ができるまで 1:木地 vol.1

arabiki

前回は、木を切って材料取りするところをご説明しました。
そのときの画像で、手前に何となくお椀の形をしていたものがあります。
それが、粗挽き(あらびき)というものです。

ようやく木地挽き職人の登場です。

今回は、粗挽きについてと、それをどうするかをご説明します。
前回の、木を切って粗く挽くところまでは、製材屋が行います。
それを、木地挽き職人が購入するわけです。
規格外のものを作るときには、
それ用に製材屋に発注することになります。

変わった形のものを作ろうとすると、
製材屋と木地職人の関係、木地職人と私の関係によって、
粗挽きは1か月で入手できたり2年経っても入手できなかったりします。

ちなみに、商品ではなく、作家が作る作品で使われる、
木目が稀なものや銘木などは、別の流通ルートがあります。

無事に縦木取りされた粗挽きができたら早速ロクロで挽いて形を作る、
というわけにはいきません。
それでは長く使える漆器を作ることができないのです。

木には水分がたっぷりと含まれています。
水分を残したままだと、ものすごく変形します。
ひどい場合にはひび割れてしまいます。

そこで、木地職人は、まず木を乾燥することから始めます。

粗く挽いたものでないと、全体から水分が抜けません。
水分を抜く、つまり乾燥させるのは、木地職人の仕事です。

最初は、画像のように積み重ねて自然乾燥です。
粗挽きされた状態で、環境になじませるわけです。

大きなスペースがないと、木地職人はできません。
漆の職人を目指す人がいても木地職人として独立できないのは、
初期の設備投資にお金がかかるからです。

画像の状態で、最低でも2か月ほど置きます。
もちろん、長くなってもかまいません。

かつてのグッドデザイン賞の選考では、
漆器に穴を空け、内部の水分含有率まで計測しました。
水分が設定値よりも多いと、どんなに形が良くても、
優れた商品デザインとは認められなかったのです。
(うちに穴の空いた菓子鉢があります。もちろん受賞しました)
それほど、水分は漆器の天敵なのです。

ちなみに現在のグッドデザイン賞は、
そういったノウハウのない選考者が見た目で選んでいるため、
そうした計測はまったく行っていません。
長年使うには無理のあるものが選ばれる傾向にあり、残念です。
今でも機能や品質が選考基準に含まれているはずなのですが。

とにかく、そして2か月後、
ようやくロクロの出番かというと、
そうではないのです。
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