五感で感じる文学

以前のブログで参加していた、テーマを決め、そのテーマに合った本をトラックバックで紹介するという企画。かなり遅くなってからなのですが、参加してみます。今回の出題者は四季さん。しばらく離れていた間も順調に回を重ね、第24回のテーマは「五感で感じる文学」とのことで、すてきなお題です。
私は、とても鈍い。皮膚感覚を大切にして暮らしているけれど、そう意識しているという時点で、鈍さを補おうという意図がある。自分が知覚した感覚や感触について、かなり時間が経ってからでないと、うまく頭の中におさまらない。頭の中で考えるのは、感じることではない。

とにかく、本。

五感と聞くと、パトリック・ジュースキント『香水』を真っ先に思い浮かべます。でも先日ある人にプレゼントしてしまい手元にありません。あとは松本大洋の漫画に「冷たいか? それが海だ」というせりふがあって、よくあるせりふですし松本大洋は第六感を書かせたら無敵なのですが、なぜか頭に残っています。第六感と聞いて「霊感山勘第六感」を思い出す人は、かなりのご年配とお見受けします。五感に合わせて5タイトル選ぼうと思ったのですが、五感以外の感覚のほうが小説的な気もしてきてしまい、結局いつも通りの好きな人ばかりになってしまいました。おまけに文学でもなんでもない発言集まで選んでしまいました。そうなると、感覚というのは外部からの刺激ではなく、自分の内部での情報処理による気もしてきますし、実際に感覚も脳に情報伝達されています、などと考え始めると、私の手に負いかねる問題です。

とにかく、本。




■アントニオ・タブッキ『インド夜想曲』
タブッキの中でも特に読みやすく、映画化もされた。須賀敦子の日本語がすばらしい。
私の大好きな「ヨーロッパ資本のアジアンリゾート」の芳香が充満している佳品。


■ウラジーミル・ナボコフ『マルゴ』
若い女性の色香に目がくらむ中年男。古くから書き継がれてきた永遠のテーマ。
恋に「堕ちる」感覚が、堕落そして破滅につながっていることを最も表現した傑作です。


■小島信夫『美濃』
この人の小説は、著者の日々の暮らしが折り込まれていることが多いけれど、
よくある私小説ではなくメタフィクショナルになっています。


■ロラン・バルト『明るい部屋』
晩年のバルトが、写真論の体裁をとって、母への思慕を包み隠さず綴った名著。
初版の装幀は、銀塩写真にちなんでシルバー。これは必ず古書で初版を入手してください。


■永瀧達治『ゲンスブール、かく語りき』
ゲンスブールの発言集。ひとつの発言に永瀧達治の解説がついて、2ページ見開き。
「恋は盲目。そして、その杖はバラ色だ」「酸素が嫌いだから煙草を吸う」など、名言ぞろい。


バックに写っているのは『Jane Birkin Serge Gainsbourg』という、セルジュ・ゲンスブールが、ジェーン・バーキンと出会って最初にリリースしたアルバム(のジャケット裏面)。ブリジッド・バルドーに「わたしのために世界でいちばん美しいラブソングを書いて」とおねだりされたゲンスブールが、バルドーとレコーディングしたけれどバルドーの夫の怒りが最高潮に達してしまいお蔵入りとなった“Je t'aime... Moi non plus”が節操もなく収録。A面のラストに“69 Annee Erotique”という曲が収録されています。


今日は、6月9日です。
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コメント

not subject

ひゃくさん様

はじめまして。コメントありがとうございます。コメントをいただいていたことに気づくのが遅く、返信が遅くなり大変申し訳ないです。
山中の同業者は、半月盆や角盆などのほとんどを河和田に依頼しています。かつての山中がそうだったように、全国の漆器産地の下請けとなっている構造に問題があるような気がします。どれだけ生産量が増えても、名前は表に出ないのですから。それは業務用でも同じことだと思います。山中は、裏方に徹して日本一の生産量になりました。認知度を上げることになど興味がなかったのです。そして現在は、漆器を知っている人は山中漆器を知っていますが、粗悪なものというイメージを持たれています。知名度を上げると、負の面も知られます。知名度向上をするには、その前にしておかなければならないことがあります。

私の作った漆器を仕入れたいというお話を、これまでに河和田の同業者から3件いただいたことがあります。申し訳ないですが、私はお断りしています。そのようなことをいていては、漆器産地とは何かが崩れてしまうからです。

一般的に思われている漆器のグレードは、輪島が抜きん出ていて、その他はどれも存在しないも同然です。魅力ある作り手が4人くらいいれば、あとは勝手に名前が広がります。また、甚だ失礼なことを言うかもしれませんが、最古であることだけを売りにしても通用しない時代だと思います。市場は「いちばん古いのは分かった。業務用のシェアが高いことも分かった。で、何が優れているの?」というのがほとんどだと思います。これは、漆器や伝統工芸に限らず、どんな業種でも同じです。「河和田とは何か」という本質を考えたときに、業務用80%とか、最古とか、漆器そのものとは無関係な「情報」しか出てこないのであれば、衰退していくのではないでしょうか。特徴のないものは、価格でしか競争できないですから。

蛇足ですが、ひゃくさん様のコメントに「全国一」とありますね。これは、業務用に限るとということですよね。そのような曖昧で誤解させる文脈は通用しないですし、逆効果だと思います。都市の生活者は、田舎の産地よりも賢いですし、目も知識も肥えていますから。金額ベースなのか数量ベースなのか判りかねますが、たとえば山中は、漆器の生産量が全国一、出荷額が全国一、棗と香合のシェアが全国一。でも私は、そんなことを売り文句にしません。漆器においては、量と質は反比例するからです。そのことを、買う人も知っています。

「鯖江とはどういうところか」と聞かれたら、日本のほとんどの人は「眼鏡」と答えると思います。それはとてもすばらしい資産なのではないでしょうか。

ちなみに私、藤田氏が学生時代にアルバイトをしていた広告会社に勤めていたことがありますよ。

not subject

はじめまして、突然のコメント大変申し訳ございません。

鯖江市を知ってください。

鯖江市河和田は、業務用漆器(ホテルやレストラン等で使われる漆器) の製造で全国の80%を超える全国一の産地。
全国の漆器産地で、伝統的工芸品産地に指定されているのは22産地ありますが、河和田の漆器は、継体天皇が産地の起源とされ、1500年の歴史がある全国最古の産地です。
皆さんが、よく知っている産地の、石川県の輪島塗・山中塗器・岐阜県の飛騨春慶そして京都の京漆器と比べると、全国最古の産地としては、知名度は今一なので・・・・・「世界に誇れるさばえを一人でも多くの人に知って頂く為に・・・!。」をモットーに頑張っております。
素晴らしい河和田の漆器を知ってください。
その鯖江市を事細かに日掲載しているホームページ→ひゃくさんのブログhttp://ameblo.jp/hyakuo/entry-10020318924.html#c10032735812を一度、見てください。

もしよければ?HPのほうにリンク貼らせて頂きますと幸いです!
今後もよろしくおねがいします<(_ _*)>

大変失礼致しました・・・。

not subject

pico様

不義理だなんてとんでもない。不義理なのは前のブログを削除した私です。

ロックをかけるときはみんな、自分がいちばん激しいのやうるさいのをかけたがるので、
外した感じで良かったのかもしれないですね。クールダウンになったのではないでしょうか。
しかしこれをまわすなんて、傷がついたり磨耗したりしたらと考えると、私はこわくてできないです。

松本大洋、バルト、ナボーコフ、ゲンスブール、DJ、かなりかぶっていてうれしい驚きです。
タブッキいいですよ。短いのであっという間に読めますし、それなのに独特の雰囲気が濃密です。

うるしのはなしがメインになっていくように思いますが、
良かった、好きなほうに入る書籍と音楽は、取り上げていきます。
どっちつかずのブログですが、皆様の暮らしにとって、
ウインナ・シュニッツェルにおけるヌードルくらいの価値があれば本望です。
まあ私は豚肉のSchnitzelが好きなのですが・・。

not subject

やっとやっとゆっくりコメントできます。
のぞいてはいたのですが、不義理ですみません。

その昔、ロックDJイベントの時に、こちらのアルバムをかけまくたのは私です。
レッチリ、レディオヘッド、ツェッペリンなどかかるなか。。。笑
暴動がおきるかと思いましたが、意外にも好評でした。

「冷たいか? それが海だ」
花男ですね。名言ですね~。
こちらのご紹介の本では、ロランバルト、ナボコフ、ゲンスブール以外は未読です。
タブッキは、どちらでも絶賛されていて、ずーっときになっていたもの。
信濃もきになります。

いつもいつも、ステキな本のご紹介ありがとうございます。
kotaさんが、もどってきてくださって、嬉しいです。
しかも、このような形で。
気持ちよくてつい長居をしてしまいます。
ホンモノの輝きは気持ちよいですね。

ごぶさたしてますMlle Cさん

Mlle C 様

ごぶさたしております。
サイトのガイドブックガイドのところ、
何か解釈を間違っているところがあれば突っ込んでください。

69年はウッドストックで、日本語では奇しくもロックですね。
6と9のどちらが男なのか、若い頃悩んだことがあります。
(このコメント欄を取引先の方々が読まないことを祈っています)
私の誕生日は1970年9月7日で、割と気に入っています。
9と7ばかりで、97も79も素数だからです。

心惹いてしまうものがあるとはうれしいです。
すべてを取り揃えていただいているところはないので、
もし実物を見てみたいと思ったものがあれば、
どのあたりなのかを教えてください。
ちなみに結婚式の引出物は挙式の半年前までにご相談ください。
スピード結婚はおやめくださいマドモワゼル。

その余談、本題並みの重要度でございます。

お久しぶりです。

四季さんの所からやって参りました。
ご無沙汰しております。1969年に産まれたかった・Mlle Cです。
今回挙げられている本、小島信夫とナボコフは未読ですが、他はどれも大好きな本です。
という私は最近TB企画に参加できないことが続いて心苦しい思いをしています。。

公式サイトのコレクションの所を拝見しましたが、心惹かれるものがたくさん。
日本橋三越その他でも買えるのですね。今度覗いてみます。

余談ですがご住所が友人(ゲンスブール狂)の実家とわりと近くて驚きました。

LINさんおひさしぶりです

LIN様

ごぶさたしておりました。

10年も携わっていながら言うのも何ですが、広告の仕事は向いてないです。
いや、向いていたのだとは思うのですが・・。
いまは「すべて情報開示できる、ほんものの漆器」を作りたいという思いだけです。

>汁椀がほしい…
差し上げるわけにはいきませぬ・・

バラードは文学なのかSFなのか判りませんが気づきませんでした。
セリーヌと倉橋由美子に貼られているのなら見つけたことがあります。

しかし『インド夜想曲』は人気ですね。
いささか小島信夫(今最新作読んでいます。90歳で400枚の長編です)がかわいそうになってきました。

ではでは、こちらこそまた今後ともよろしくお願いします。

not subject

またkotaさんにお会いできて嬉しいです♪
こういうお仕事だったのですね!
私はてっきり地元で広告のお仕事をしているんだと思ってました。
漆器、ステキ。
汁椀がほしい…
この中では『インド夜想曲』だけ読みました。
この間、2ちゃんねるのバラードのスレで、
kotaさんの前のブログが紹介されていて
「おーっ!」と思いました。
また、本のこと、いろいろ教えてくださいませ。

おひさしぶりです四季さん

四季様

参加しちゃいました。私の実名・住所・職業、すべてばれてしまいましたね・・。
四季さんにお誘いいただいて「まあもう一通り参加が終わってるんだろうな」と思いながら、
何の気なしに覗いてみたら、なんと『日々の泡』を挙げられているではないですか。
ブログのタイトルがこれなんだよとお伝えするためだけに参加したようなものです。

タブッキは読まれてますね。薄汚れたインドの街を辿る話なのに、
なぜかヨーロッパ感があって、思いっきりひたってしまいます。
須賀敦子さんにはぜひ小説というかフィクションを書いてほしかったと思いますが、
書かないところがすが敦子さんらしくてすてきだなとも思います。
『香水』いいですよ。これはものすごくおすすめです。

漆は、空気中の水分と結合して固まるんです。私たちも日常的に「乾く」と言っていますが、
「固まる」が正しいわけです。それで、ああいうしっとり感が出るわけです。
感触に一目惚れするのは幸運ですね。私はいつも、お椀の直径とカーブで悩みます。
自分にはぴったりでも、自分にだけぴったりなわけですから・・。
ちゃんと作ったものは、毎日使ってもだいじょうぶですよ。
何かあっても塗り直せばいいだけですし。

このブログは、私の器を売るというより、
漆器として並んでいるものの違いや選び方・使い方などの参考になればと思っています。
観る方の役に立つ情報を充実させたいので、どんどん反応して突っ込んでください。

ではでは、改めましてよろしくお願いします。

おひさしぶりですワルツさん

ワルツ様

早速のコメント&TBありがとうございます。

以前の場所、何もご挨拶なく削除してしまい、皆さんには申し訳なく思っています。
(「アデュー」というメッセージは残しておいたのですが、どうやらうまく伝わらなかったようです)

レコード持ってる人、初めてでうれしいです。さすがワルツさん。
私は、ちょっと高めの金額がついていた中古を購入しました。
音がきれいできちんと全部聴こえて、尋常ならざる価格でも安いと感じます。
10万円で譲ってくれと言われても手放しません。

ではでは、あまり本と音楽はメインではなくなると思いますが、よろしくお願いします。

ご参加ありがとうございますー。

参加して頂けてとっても嬉しいです! お誘いしてみてよかった~。
そしてこちらのブログの名前を拝見して、参加していただけた理由が分かった気がしました。泡×泡ですね。(笑)
6月9日に拘られた理由も納得です。
ご紹介の中では「インド夜想曲」しか読んでないんですが、これ、いいですね。タブッキも須賀敦子さんも素晴らしくて。タブッキの他の本も読んでみたいと思いつつ、まだこれだけなんですが、須賀さんの本は少しずつ読み進めてます。あと「香水」も気になってた本。
そして「ゲンスブール、かく語りき」、ぜひ読んでみたいです。

お仕事の部分も食い入るように拝見させていただきました。いいですねえ。実際に手に取ってみたくなってしまいます。漆器は子供の頃から好きだったんですけど(あの何ともいえないしっとりとした雰囲気が)、以前は、特別な時のものという印象だったんです。でも一目惚れ…というか、持った感触にすっかりほれ込んでしまった椀があって、それ以来日常の中に欠かせなくなりました。
色々と反応したくなったんですが、その中でもバカラに黒漆が美しくてびっくりです。内側に塗ると、黒漆とガラスがお互いに引き立て合うんですね。外側の光がまた美しい~。

これからも楽しみに拝見させていただきますね!

not subject

kotaさん、素敵なサイトにどきどきしながら寄せてもらってます。Bryumさんちでお見かけしてから、楽しみにさせてもらってました。
プライベートなお仕事の方も、うっとりしながら読ませて頂いてます。
たら本のkotaさんがあげておられる本では、『インド夜想曲』 を読んでます。幻想的でいいですね。
それと、『ゲンスブール、かく語りき』 !
本の方は未読なのですが、kotaさんの画像で思い出しました!
セルジュ・ゲンスブールの『ジェーン&セルジュ』 すごいいい雰囲気で、、、好きです。私もレコード持ってますよ。
69 Annee Erotique・・・「69はエロな年」。すごいタイトル!彼らしいです。

ではではこれからもどうぞよろしくお願い致します。
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