松田権六展

制度としての問題はいろいろありますが、人間国宝が制定されてから蒔絵で第一号となった松田権六。著書が岩波文庫に収録されている、ただひとりの工芸家。地味すぎる石川県立美術館に行ってきました。松田権六は圧倒的にすばらしいです。塗った漆が乾く前にその上から絵を描いたり、新しい試みをたくさん切り拓いた人。ほしいものが続出です。弟子だか弟子の愛人だか(彼らもまた人間国宝なのですが)の作品も便乗で展示されていましたが、劣化の度合い(素材の良し悪しと技術による)や全体のバランス(技術だけではないセンスや才能と言われる何か)など、何もかもが違い過ぎて霞み、頭がくらくらしました。もう次の作品は作れないかもしれないと戦時中に松田が全精力を傾け、鶴亀と松竹梅を配した、有名な棚は言わずもがな。個人的には梅文方盆の絵に脱帽です。あれこそ、どこのテイストでもない、松田権六オリジナルのアイデア。現在のサインやピクトも松田権六なら華麗に問題解決したはずです。漆芸という枠に収めておくにはもったいないのでもっといろんなことができたはずですが、それでも本人は漆にこだわったところも尊敬に値します。梅文方盆は、メインの展示室の、順路でいくと最後にあります。
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