リーペリン入りブラッディ・メアリーと、ブラッディ・メアリー・ミックスのブラッディ・メアリー



夏に採れたトマトで作ったドライトマトが良い感じになってきたので、ブラッディ・メアリーを作ってみました。
私はカクテルも大好きです。学生時代には時給900円で1日50人以上を相手にするバーでもアルバイトしましたし、時給1500円で1日1組限定のレストランのウェイティングバーでもアルバイトしましたし、無給でレコードをまわしていたクラブでは共産国家の労働者のような勢いで酒を出していました。作るときは、完全にNBAのレシピです。カクテルというのは、とても正直です。自分のバックグラウンドや精神状態が如実に出来に顕われます。でも、カクテルは外で飲むものだとも思っています。

ブラッディ・メアリー(またはブラディ・マリー:NBAではブラッディ・メアリーで、実際の発音もそっちに近い)は、自分で作って飲む数少ないひとつ。というのも、まっとうなブラッディ・メアリーを飲むことができるお店の少なさによります。NBAの公式レシピでは、材料は「ウォッカ45ml、トマトジュース適量、レモンジュース1tsp」ですが、作り方はこうなっています。

タンブラーに氷を入れ、ウォッカ、トマトジュース、レモンジュースを注ぎ、ステアする。スライスレモンを飾り(カットレモンを使う場合は、グラスの縁に飾り、飲み手に、絞って好みの酸味に調整していただく)、マドラー、または好みでセロリスティックを添える。さらに、食塩、胡椒、セロリソルト、タバスコ、ウスターソースなどを別に添える。

『ザ・カクテルブック NBAオフィシャルカクテルブック』日本バーテンダー協会編 柴田書店 p134

というわけでブラッディ・メアリーの味はバーテンダーの技ではなく、客にゆだねられています。ということは、味は材料次第。お店で見られるブラッディ・メアリーはレモンが添えられているだけのことが多く「ウォッカトマト」と呼んだほうが適切。ウスターソースひとつとってもちゃんとしたものを置いているところは少ないので、加えないことが多いのです。

私の材料は、こんな感じです。画像手前から時計まわりに
レモン:国産(輸入物は薬品づけだから)
ドライトマト:自家製ドライトマト(こくを出すために不可欠)
ウスターソース:リーペリン(ブラッディ・メアリーにはこれと暗黙の了解だから)
タバスコ:タバスコ(登録商標です)
塩:死海の岩塩(にがりが多く渋味があるので引き締めるから)
胡椒:ホワイトペッパー(辛みが強くて爽やかだから)
ウォッカ:フィンランディア(単に北欧好きだから)
トマトジュース:カゴメ(いちばん流通しているから)

リーペリンは輸入停止が続いていましたが、今年4月に販売再開しました。イギリスのウスター市で生まれた、ほんとうのウスターソース。フレッシュネスバーガーの店内に置かれている、あれです。カクテルではプレーリーオイスターにも使われます。牛肉を焼いて、フライパンに残った脂というか肉汁に赤ワインと共に加えてアルコールを飛ばして煮詰めれば、ステーキソースのできあがり。タルタルステーキにも欠かせません。チョコレート味のアイスクリームに少し垂らしても美味しいですし、ブルーベリーを炒めて絡めても美味しいです。ということは焼きミカンに垂らしても美味しいのではないかと目論んでいます。

ほんとうは天日干しが良いのですが、ドライトマトは電子レンジで作ることができます。でも大切なのは、そのあとです。にんにくと玉ねぎのみじん切りをオリーブオイルで炒め、さらにオリーブオイルを足し、その中に漬けます。そのままで、お酒の肴になります。漬けたオイルもパスタソースや炒めものなどに使え、そこはかとないトマトの香りが心地よいです。

といったようにブラッディ・メアリーのためにはたくさんの材料を用意する必要があります。作業はレモンを櫛形に切って真ん中の白いところを切り落として種をとるくらいなのですが、めんどうです。余ったレモンも持て余してしまい、ついついスズキのグリエなどを作らざるを得なくなります。でもだいじょうぶです。「ブラッディ・メアリー・ミックス」という缶ジュースがあります。すべての材料が加えられているので、ウォッカをこれで割ればいいだけです。世界中のエアラインのファーストクラスやVIPラウンジで採用され、ホテルのスイートルームにあるバーコーナーの冷蔵庫に入っている、富裕層だかビリオネアだかセンチュリオンカードホルダーだかにはおなじみのアイテム。別名ヴァージンメアリーとも呼ばれ、ウォッカで割らずにこのままでノンアルコールのカクテルとしても人気というか国際線のキャビンアテンダントがハンティングワールドやレスポールサックやMCMやエルベシャプリエといったバッグやクリスチャンディオールのスヴェルトやエスティーローダーのフルイションやヴァンクリーフ&アーペルの香水やディプティクのアロマ(現在最も自慢できるアイテムは日本未発売の石鹸だそうである)なとど同様に日本で広めました。そんなわけで意外とお店のメニューやリストに「ヴァージンメアリー」とあることが多いですが、単にレモンを添えたトマトジュースであることがほとんど。これはこれだけで飲むとなると、かなりスパイシーです。しかしながら、これがブラッディ・メアリーのグローバルスタンダードというかインスタントなので、一度味わってみるのも悪くないと思います。

私が常備している普及品のブラッディ・メアリー・ミックスは、材料が「水、濃縮トマト、酢、食塩、コーンシロップ、オニオンパウダー、濃縮レモンジュース、香辛料、セロリの種、コーンプロテイン、ガーリックパウダー、砂糖、糖液、カラメル色素、リンゴ酸、クエン酸、調味料(核酸)、香料」と、莫迦正直(ふつう日本では濃縮還元ジュースの原材料に「水」とは表記しない)なくらい何でもあり。いかにもアメリカ的なアイテム、まさしく麻婆豆腐の素やカレールウのようなインスタント。温めてイタリアンパセリを浮かべるとスープになり、鶏肉だって煮込めます。広尾のナショナル麻布スーパーや新宿のパークシティ伊勢丹などで購入できます。大きな缶ですが、信濃屋の通販もあります。

ブラッディ・メアリー・ミックスで作った場合は、こんな感じになります。何も加えていません。トマトジュースよりタバスコに近い色味からも、そのスパイシーさが伝わってくると思います(すみません半分飲んじゃいました)。



ブラッディ・メアリーは、ビーフブイヨンを足すと「ブラッディ・ブル」というカクテルになり、
トマトジュースをクラマトジュースに代えると「ブラッディ・シーザー」になり、
ベースをテキーラに代えると「ストローハット」になり、
ベースをジンに代えると「ブラッディ・サム」になります。
レッド・アイは、単なるトマトジュース割りです。
レッドバードも、ウォッカをビールとトマトジュースで割ったものです。

名前は、聖母マリアのことではなく、プロテスタントを迫害したイングランドのメアリー1世の渾名から。

画像のトレイは、挽くのに失敗したお皿の木地。
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