ALPHAレーベル



【classic】

CDレビューのブログのようになってきたので、まとめます。
特定のレーベルを好きになることは私にとってよくあることです。ZTT、ファクトリー、4AD、クリエイション、ECMsaidera、Ninjatune、そしてアメリカン・クラーヴェ。クラシックはSPやLPの時代に現在のCDやSACDでは不可能なほど音の良いレコードをリリースしていた(レコードよりもCDのほうが音が良いとお思いの方は、以下は読む意味がないと思うので読んでも時間の無駄です)名レーベルがあり、幾多の名演が残されてきました。それらは現在、田舎の漆器屋では手が出せないほどの高値で取り引きされています。そしてCDになってからは、エヴェレストやLiving Stereoの復刻SACDなどが高音質として有名です。でもなぜか私がどっぷりとはまってしまったのは、今年の夏に知ったαです。

1998年にリリースを開始し、ちょうど先ごろメインのシリーズが100タイトルを超えた、古楽のレーベル。教会録音によるホール感と残響。にもかかわらず、音がだんごになっていません。倍音を含む直接音と残響が、本来あたりまえのことなのですが一体となりながらも明確に分かれています。これは見事です。音色は、艶と潤いがあり、優美で官能的。私はオーディオを選ぶときに、そうした傾向の音色が出るものを選ぶくらいなので、ほんとうに好みの音です。


画像左から;

【alpha045】
Daniel Danielis/Coeleste convicium
天上の饗宴 ダニエル・ダニエリス作品集
フレデリック・デザンクロ指揮 アンサンブル・ビエール・ロベール

ダニエリスは、1638年リエージュ公国生まれ。教会音楽家として名高く、ここに収められたのはプティ・モテ集。72曲書かれたモテのうち、11曲を収録。選曲は編成と内容によって。フランス、イタリア、ドイツがブレンドされた宗教音楽。歌詞は聖書からとられたものと、作者不明が半々。構成はシンプル。デザンクロのオルガン弾き振り(どんな配置なのだろう)、そして四声にチェロ、ファゴット。13分を超えるトラック7が聴きどころ。跳躍と瞑想、そして崇拝する心。伸びやかに響く音色と歌声は、さすが音の良いアルファ。ジャケットに使われた絵画が、今回の5枚では最も好み。

録音:北フランスのディエップ、サン・レミ教会
絵画:シモン・ヴーエ「晩餐」(1636)


【alpha067】
Jean-Philippe Rameau/Cantates & pieces en concerts
ラモー コンセールによるクラヴサン曲集第1番・第3番・第5番 カンタータ「テティス」「忠実な羊飼い」
レ・ミュジシャン・ド・ムッシュー・クロッシュ

クラヴサンとはチェンバロのフランス語。可憐な音色で典雅。冒頭にはル・ブラン「バス・ド・ヴィール擁護論」のバンジャマン・ラザールによる朗読が11分。そして音楽が始まる、珍しくも絶妙な構成。室内カンタータも収録されており、好みでいえば前のほうの女性のものが良かった。往時の室内楽を存分に味わえる、瑞々しい1枚。チェンバロは構造上の問題で大きな音を出すことができず、演奏会場が巨大化していった西洋音楽ではピアノにとって変わられた。しかし、チェンバロがピアノの卵ではなくピアノとはまるっきり異なる楽器であることを、このCDでは高い質で楽しむことができる。トラヴェルソの素朴な音色も清涼かつ滋味深い。

録音:ヴェルサイユ、サント=ジュヌヴィエーヌ学院礼拝堂
絵画:ジャン=マルク・ナティエ「ディアーヌに扮したフランス皇女マリー=アデライド」(1745)


【alpha084】
Boccherini/Sonates & concertos
ボッケリーニ チェロのためのソナタと協奏曲
ブリュノ・コクセ&レ・バッス・レユニ

自身もチェロ奏者だったボッケリーニの、チェロソナタとチェロ協奏曲。コクセのバロックチェロを堪能できます。チェロといえば低い音を担当するようなイメージがあるけれど、ここでは高音域の煌きが尋常ではない。めくるめく展開がボッケリーニのペンによるものなのかコクセによるものなのかは、ボッケリーニもコクセも聴き込んでいないので判りません。ただ、ボッケリーニの自筆譜はほとんど残っていないためにコクセが検討したそうなので、コクセによるものと思ったほうが良いのかもしれません。これらの曲が、わずか6人の構成で演奏されているとは信じ難い。トラック9の超絶技巧の競演と連続に陶酔。解説も充実。摩擦音や撥ねる音も手で触れそうなくらいで、相変わらず音が良い。

録音:パリ、ノートルダム・ド・ボン・スクール病院礼拝堂
絵画:ルイス・エウヘニオ・メレンデス「習作を携えた自画像」(1746)


【alpha903】(←aplha002)
Domenico Belli/Il nuovo stile
ドメーニコ・ベッリとフィレンツェの「新様式」
ル・ポエム・アルモニーク

17世紀のフィレンツェで活躍した作曲家ベッリ。この人の曲は初めて聴いたのだけれど、聴きなれない和声や半音づかいが非常におもしろい。聞き流していると、特にどうということのない歌であり曲だけれど、聴き入ると聴き手を不安定な状態にさせる。ということは、曲のテーマや目的を見事に表現しているということになる。高音と中音と低音の三挺を擁するヴィオールに、ヴィオローネとテオルボ、トリプルハープ。そして打楽器と歌。無名だったアルファレーベルの第二弾で無名の作曲家ベッリをとりあげるところからもアルファの姿勢がうかがえる。アルファの知名度向上の起爆剤となった1枚だそうで、これはこれまでにリリースしたカタログつきで再リリース。曲と時代やテイストを適合した絵画をあしらうジャケット写真を眺めていると揃えたくなる。というふうに、どうやらコンプリートさせたいらしい。

録音:パリ、ノートルダム・ド・ボン・スクール病院礼拝堂
絵画:ヤーコポ・カルッチ=ポントルモ「ピエタ、あるいは十字架降下」(1527頃)


【alpha sa503】
La Tarantella
ラ・タランテッラ タランチュラの毒を清める方法
マルコ・ビズリー、ルチッラ・ガレアッティ、ラルペッジャータ

アルファレーベルで初めてスーパーオーディオCDで再リリースされた隠れベストセラー。白ジャケットは「レ・シャンド・ラ・テル(大地の歌)」と呼ばれるシリーズで、通常の黒ジャケット(ウト・ピクトゥラ・ムジカ(音楽は絵画なり、絵画は音楽なり)が絵画を配するのに対し、モノクローム写真。記譜による音楽伝播(つまりほとんどの商業/芸術音楽)と民間伝承の間にあるものの探求を目的としたシリーズ。「エスクァイア」によると「ラ・タランテッラ」はクラブヒットもしたそうなので興味を持ち購入。タランテッラとは、タランチュラに刺された毒を消すための音楽と言われている、かつて南イタリアに伝わっていた民間療法。横たわる患者に聴かせるのではなく、患者を踊らせて毒を排出するというのが怪しさ満点。むしろ何かが憑依しそうである。毒蜘蛛に刺されると全身のたうちまわって毒蜘蛛ダンスを舞い、そのときにお祓いするための歌という説もある。音は呪術的というわけではなく、世俗的で簡素なもの。でも豊か。カスタネットとテオルボが、ラテンの民俗音楽らしくて心地よい。そして、打楽器の音色とリズムがいい。繰り返されるリズムが幻惑の世界を創出するのは、トライバルな民族音楽やハウスも同じ。白ジャケは他にもアンダルシアのオリエントとか中近東のルネサンスとか地中海のユダヤとか興味深いものばかりなので聴きたいのだが、品切ればかりで歯がゆい。アルファは通常のCDでも感動を超えてから唸ってしまうくらいの音の良さで、SACDの音も異様に良い。できればすべてハイブリッド盤でリリースしてほしい。

録音:パリ
写真:ロバン・ダーヴィス

美しいジャケットが掲載されたカタログを眺めると、半分ほどほしいものがあります。困ったものです。



 
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コメント

無題

読みませんでした。

not subject

higedebu様
遅くなりましたが、記事をアップしました。

おまかせします

普通にブログに書いていただければいいと思います。
内容については、そちらの思うとおりに書いてください。
ご協力感謝いたします。

not subject

higedebu様
こんにちは。
ネットに載せるとなると当たり障りのない内容になりますがよろしいですかね。
ブログに書けば良いのですか? それとも、トラックバックなどがあるのでしょうか。

lilla様
はじめまして。
クラシックに詳しくないところに検索で辿り着いたようで申し訳ないです。
私はヘッドフォンアンプを持っていません。
それでも、ヘッドフォンで聴くと音の良さに驚きます。
オーディオファイル(いわゆるマニアの方々)の考える良い音とも異なる気がします。簡単に言ってしまえば音楽性であり、CDでクラシックを聴くという行為につきまとうある種の矛盾を解決する新たな方法だとも思います。高音質で有名なレーベルに私が興味がないのは、それらのレーベールのリリースが、機械的な作業に思えてしまうからです。「20年分の企画がある」と言い切るalphaにとって、音の良さとは目的ではなく手段であり、当然のマナーなのです。という気がします。

alphaについては

バッハ 無伴奏ヴァイオリンソナタとパルティータ
http://shikki.blog66.fc2.com/blog-entry-248.html

フランクール ソナタとエールさまざま
http://shikki.blog66.fc2.com/blog-entry-200.html


もとりあげています。レビューでもなく感想ですらないので、ものすごくお時間のあるときに気が向いたらお読みください。コメントありがとうございました。

alphaレーベル

はじめまして。alphaレーベルで検索してきました。私もエスクァイア誌で知ったクチです。美しいジャケットと安物のオーディオで聴いても上質さが分かってしまう音質には虜になりました。
なかなか情報の乏しい分野ですのでレビュー、参考になりました。ありがとうございました。

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