今年もごちそうさまでした

12月に訪れた加賀近辺の飲食店をまとめて紹介します。
お酒がメインのところは省いていますが、ものすごく長いです。
■加賀 8番ラーメン
なんでやろ、というわけで、いつもAセット塩。

■加賀 明月楼
山中温泉。5000円のコース。15畳の和室。眼下は渓谷。

■加賀 鮓一貫
コースが3500円から5000円まであります。特別に7200円のコースを組んでいただきました。本来は焼き物などをいただいて最後に鮨をつまむのでしょうが、ゆっくりとしたかったので小上がりで。先付は真鴨、からすみ、ししゃも、あんきも(酢飯と一緒に湯引きしたレタスで包んである)など、どれも本物。からすみは単品で追加しました。お椀は蕪をすりおろしたもので、食べたことのない味。焼き物はのどぐろ。酢の物は香箱蟹という、加賀の冬の味覚をすべて盛り込んだ料理に舌鼓。あと何品かあったはずなのですが既に失念しました。最後に握りが10貫程度とお椀。東京で修業していたとのことで、煮ハマや穴子をいただいてみたいのだけれどそれは無理なので干瓢巻と小肌を追加。お酒は手取川を注文したら、酒屋さんに届けてもらっていました。ぐんぐん力をつけているお店には前進するような感触があって、何をいただいても期待以上です。何度も言っていることですが、新鮮な地のものを出すだけなら「酢飯の刺身乗せ」に過ぎません。

■加賀 ア・ポワン
多角的なお店で、パンを買うお店と思っている人もいれば、朝まで営業しているありがたいバーだと思っている人もいて、私は後者です。ここは、いちばん奥の鋭角になった座敷がベストポジション。このお店が入っている建物のオーナーが、建物に入っているお店をすべて経営しています。朝のパンからランチ、お茶、夕餉、明け方のお酒まで、この建物でまかなえるというわけです。

■加賀 手塚屋
焼肉屋です。加賀市では最高級の価格帯ですが、そこは加賀市。麻布の相場より安いです。でもザガットサーベイ日本版で全カテゴリ中最高得点を叩き出した足立区のスタミナ苑よりは高いです。というか店構えが違います。焼肉といえば細かく均一にサシが入った、脂の乗り切った霜降りがいちばん、という人は迷わずここにするといいと思います。タンは分厚いし、内臓も豊富。ちなみに私より少し若い娘さんがいて美女なのですが、横浜に住んでいます。何がどうというわけではありませんが、残念です。ホスピタリティに難ありという意見がありますが、私はそうは思いません。こんなの田舎ではあたりまえです。まっとうな仕事すらせずにタメ口で威張っているだけの人だってたくさんいます。

■加賀 花や
昼食。定食の、はたはたの煮付。ポトフのようなスープと味噌汁、きのこのおろしあえにお新香で800円。はたはたは、このあたりの家庭の甘辛い味つけで、はたはたといえばやっぱりこれです。ポトフに入っているソーセージが近くのスーパーで売られているものでした。はたはたを味わう舌が化学調味料で台なしになるので、ポトフをなくして800円でじゅうぶん。味噌汁もあるし。これは個人的な意見ではなく、一緒にいた4人の共通見解でした。

■加賀 モスバーガー
日経MJがあるので、ランチタイムから高校生の放課後までの間の午後、そりゃまあ匠なんだろうけどシステマティックだなあと思いながら週に一度、MJをまとめ読みしています。国道沿いにあり、小松方面に300メートルほど行って左折すると、突如アメリカンなハンバーガー専門店があります。私は匠の均質感を選びますが、こっちが好みという人もいておかしくはないハンバーガーです。モスでは、コーヒーシェイクを飲みます。

■加賀 SEIBO
うちの裏手にある、喫茶店だと思っていたらレストランでした。週に一度、ランチを。それとは別に、月に一度か二度、良く言えばパワーランチ、ふつうに言えば会合をします。喫茶店や定食屋ではなくレストランであることは、メニューにサンドイッチとサラダが数種類、そして絶対に丼ものを加えないことからも窺い知れます。ふつうに、まっとうにおいしいです。これがいちばん難しいです。帰郷して最初の頃は、もう東京ではお目にかかれない、ケチャップ味のオムライスやナポリタンを注文して困らせていました。銀座の煉瓦亭ではエビフライかハヤシライス、新宿のアカシアではロールキャベツ、ここではオムライスかナポリタンです。子どものころは、ここのマンゴージュースが好きでした。そして先日ついに、丼ものをいただきました。洋皿にガーリックとバターの効いた、パセリをまぶしたごはん、その上にソースをたっぷりと絡めたビーフステーキ。サラダにグラタン、汁ものにアイスクリームもついていて、立派なコースになっていました。丼ものといえどフォークの似合うところがさすがです。

■加賀 長樂
月に三度ほど昼食をいただいています。ランチではなく酸辣湯麺です。酸辣湯麺といえば赤坂の榮林に代表されるあれですが、長樂の酸辣湯麺は些か趣が異なります。極細の縮れ麺、スープは鶏ガラベースで色が薄く澄んだもの。具材の調理も少々異なるため、一目で酸辣湯麺と判る人はいないのではないでしょうか。酸辣湯麺は文字どおり酸っぱくて辛いのですが、長樂の酸辣湯麺は、そこに甘みもあります。でも前面に出ているわけではなく、味に深みを与えている感じです。これがやみつきといいますか、後を引きます。私は、テーブルに置いてある辣油ではなく、唐辛子が浸かった辣油をもらって、少し足します。赤坂でラーメンといえば、キャピタル東急ホテル内のコーヒショップ「オリガミ」のパーコー麺をもう食べることができないというのは、なんだか悲しいです。赤坂は、ホテルの喫茶店のパーコー麺、日枝神社にあるおでんの屋台、すっぽんさくま、鰻の重箱、蕎麦の砂場と、いかにもトーキョー的なところが凝縮されていて好きな街でした。

■加賀 うみぼうず
片野海岸にあるお店。海に面したほうは全面の窓。まともなエスプレッソは、ここでしか飲むことができません。急いでエスプレッソ(←トートロジー)を飲んで、ぼーっとしています。ジンジャエールはウィルキンソンで、生姜のスライスが入っています。ラップサンドやハチミツトーストなどもおいしいです。コーヒーに凝る前はうどんなどもあったのですが、なくなってしまいました。

■加賀 ドライブイン富士
加賀市でいちばん、豚ばらのおいしい焼肉をいただけるお店。殺伐とした、いかにも田舎の国道沿いにあるドライブイン。市内の肉屋が経営しているので、肉は間違いなしです。私は無関係なのですが、24時で閉店というのはドライブインとしてどうなのかとも思います。客層はまっぷたつで、長距離トラックの運転手と、地元の人間です。私はいつも、ホルモン(そこら中の内臓が入っていて美味しい)と牛すじ(いつから煮込んでるんだというくらい煮込んである)を注文し、それらをつまみながら生ビール大(加賀市でいちばん大ジョッキの似合うお店です)を飲み、豚ばらとヒネ鶏を網で焼き、とんちゃんをプレートで焼き、味噌味の鳥野菜鍋をいただき、最後にそのスープにラーメンの麺を入れて締めます。ただしこのお店は、注文の仕方に少し工夫が必要です。誰かを連れていくと、確実に豚ばらの厚みに驚き、食べてみてさらに驚いてくれます。余りの安さにお会計でも驚きます。仲良くなると、熊が捕れたときに出してくれたりします。肉屋として一日働いた店のおやじは、22時くらいからひとりで鍋をつつきながら酔っていて、なんだか幸せそうです。つまり、奥さんと、私より少し若い娘さんが切り盛りしているわけです。

■加賀 なか尾
かつては山代温泉の旅館だったのですが、温泉と宿泊をやめて、料理だけに絞ったお店。おしぼり置きからコーヒースプーンまで、うちの漆器を使っていただいています。というわけでよく行きます。とはいっても夜は4年で3回しか訪ねたことがありません。昼食はお値打ちです。時たまお客をお連れするので金額を書くのはあれなのですが、お弁当にお刺身をつけても3000円で納まります。旬のものがたくさん詰まった彩り豊かな二段のお弁当、刺身と天ぷらとお椀、そしてデザートにコーヒーと盛りだくさん。3人までならカウンター、4人以上なら部屋をとるのが良いでしょう。ここの娘さんは私より少し若く、いつも和服でいらっしゃいます。

■加賀 はく山
市役所がある街の中華料理店。ですが、中華はいただいたことがなく、焼飯です。中華なら炒飯だろという突っ込みは、ここでは通用しません。女性に人気なのはオムライスなのです。まったく凝ったところもおしゃれなところもない、私の知らない昭和30年代の焼飯、そしてオムライス。スプーンには紙ナプキンを巻いてあります。涙が出てくるくらい昭和です。ちなみに、寿司屋でもあります。座敷というか小上がりがあって、そこに寿司のカウンターがあり、中華の丸テーブルが同居しています。

■加賀 八萬菜館
国道沿いの中華料理店。加賀には「ちゃんぽん麺」という料理があります。長崎のちゃんぽんとは大違いです。どういうものかというと、魚介類も入った中華丼の具を、ゆでた麺にかけたようなものです。食べ終わると、スープが残っていません。そんなちゃんぽん麺の中で最もちゃんぽん麺らしいのが、ここ。確実に食べているはずなのですが、なかなか減りません。テーブルに置いてないので、酢をもらって、少し垂らしていただいています。

■加賀 某店
加賀市、というより石川県加賀地方でいちばん魚と肴が美味しい。岩牡蠣のあのお店です。鱈の白子、翡翠色の卵たっぷりの甘海老、鰤のお腹の部分、白海老、鯵、牡蠣はフライと焼きで。卯の花などもまっとうな素材を使い、手が込んでいる。信じられないくらい美味しい。早い時間に入るのがいいと思います。19時になると、鯵は既に半身しかありませんでした。

■小松 焼鳥民宿 哲代
焼鳥食べ放題で2000円という信じ難いお店で、しかも3500円を追加すると宿泊と朝食までつきます。申し訳ないくらい安いので、部屋にお酒を持ち込むのをためらってしまいます。シロがおいしいと評判なのですが、どれも値段の割にはおいしいです。ご想像通り、お店は狭くてぼろいです。場末感がたまりません。ガード下のない石川県で、新橋の雰囲気を味わえます。近くに木場温泉があるので、ひなびたというか、しなびた旅行にうってつけです。

■小松 ラーメン全日本
全日本といっても全国共通の、ラーメンのイデア的なものを出すわけではなく、単にオーナーがプロレス好きというだけです。いわゆる富山ブラック。初めての来店らしき人が注文すると「くどいのと薄いの、どっちにする?」と尋ねてきます。東京から遊びに来た友人を連れていくと「くどいの」のところでたいてい吹き出します。でもまあ、ほんとにくどいです。体を動かして汗をかく仕事をしていたら、たまらないラーメンだと思います。私も、そんなとき無性に食べたくなります。ちなみにライスが100円で食べ放題なので、腕に覚えのある人は業務用の炊飯器の中身を平らげてみてください。

■小松 カレーの市民アルバ
カレーだけのお店。とはいっても玉川高島屋の敷地内にあるお店のような上品な雰囲気でも、文京区白山にあるオーガニックなカレーでもありません。どこからどう見ても、場末の食堂です。ふつうのカレーは400円。銀色の楕円の深皿に、千切りキャベツと福神漬。満塁ホームランカレーというものがあり、カツ、クリームコロッケ、ウインナー、ハンバーグ、あと何かあったような気もしますが、とにかく全て乗っています。それが800円。お店に向かっているときは、今日は違うものを食べようと思うのですが、結局いつも満塁ホームランです。レディスサイズもあり、男性も注文できます。ルーは、辛いわけでもしょっぱいわけでもないのに、ものすごく濃いです。ルーだけを持ち帰ることができ、何度か購入しています。ビニール袋に入れて、結んであるだけです。よせばいいのに都市に進出して撤退を繰り返しており、現在は横浜店があるはずです。

■小松 トミー
焼肉屋です。友人たちの友人が働いていたのですが辞めるということで、初めて会うのがそんなことになってしまいました。私たちは2階の大きな座敷でテーブル4つを占拠。野菜ともつを入れた直径50センチくらいの大鍋をいただき、そこにごはんと卵を入れた雑炊(おじや)が、すばらしく美味しかったです。よくある味噌味ではなく醤油味で、こくがあって深い味。隠し味を聞いてしまいました。20時から29時(5時)までと、実に9時間、かなりの長居でした。

■小松 だるまや本店
大阪の鶴橋のスタイルとも若干異なる、とんちゃんと呼ばれるホルモン焼があります。評判が良いのは、山中の輝美、加賀のあきちゃん、そしてだるまやです。私はどこも好きなのですが、12月はだるまやにいちばん多く行きました。とんちゃん以外にも内臓の種類が豊富なお店だと私はうれしくて長居します。

■金沢 船員厚生食堂
金沢で新鮮な地元の魚をいただくなら、ここを候補に入れておくといいでしょう。名前の通り、本来は漁師や船員のための食堂でした。店構えはイメージ通りだと思います。競り場の裏にあり、小さい傷がついたといった理由によって競りで余った魚を出しています。というわけで、安くてボリュームがあり、美味しいです。海鮮丼が有名。焼魚定食も、ちょっと他では食べることのできないもので、魚が2匹ついてくるなんてあたりまえ。なので私は、メニューを見て、焼魚か煮魚を選びます。今回は、なめたかれいの煮付、鱈子の煮たもの、鯖の塩焼き、さらに刺身の盛り合わせに昆布〆、牡蠣と鯵のフライ、熱燗四合。これで2000円しません。東京からの出張とおぼしきスーツ組のパワーエリートたちも標準語で話しながら食べる、知っている人は知っている人気店です。

■金沢 杉の井
昼食をいただくことが多いお店。犀川に面したロケーションも良く、静かです。打ち水がされた石を歩くアプローチで、期待が高まります。2時間ほどかけていただく昼ごはん。東京からお越しになったお客や友人を金沢へ案内するときには、まずここで時間が流れる速度を変えていただきます。今回は、二方向に縁側のある、紅殻色の壁をした和室。女性と男性で若干内容を変えたのですが、香箱蟹、甘海老、治部煮、かぶら寿しといった加賀の素材と料理は盛り込んでいただいた。くずきりは相変わらずもちもちしておいしい。庭の手入れも行き届いており、建物は古くて綺麗という最も美しいもので、ちゃんとした器を使っています。ごくたまにですが、お店に失礼にならない程度に、器を持参して料理をいただくこともあります。

■金沢 古納屋
「こなや」と読む、うどん屋です。石川県は昆布だしの関西風の味つけが基本で、最近はうどんすきや讃岐うどんのお店もあるようです。このお店は、どこでもないです。メニューがすごいです。「どん欲うどん」に「覚悟うどん」に「嫉苦想うどん」など、独特の言語感覚に一瞬たじろぎます。しかも店主は「美味しい!」ではなく「楽しい!」を目指しています。こういうお店は得てして奇を衒っているだけであったりインパクト勝負だったりして一度食べればそれでいいということが多いのですが、ここは、変な店だけど美味しいという珍しいお店です。私はふだん「覚悟うどん」なのですが、冬になると「どん欲うどん」をいただきます。麺がおいしいという、あたりまえのことなのですが石川県では忘れられていることをきちんとしている、稀少なお店です。スタンダードなメニューもあるので、まずはそれを食べて麺と出汁の味をみるのも良いかもしれません。でも味噌味がおすすめ。カレーうどんもおいしいです。三軒茶屋から駒沢方面に向かう246沿いに、似たようなお店があります。

■金沢 すぎの実
金沢の料理といえば、鴨の治部煮、かぶら寿し、そしてハントンライスです。ハントンライスとは、ケチャップ味のチキンライスにふわふわでひらぺったいオムレツがのり、さらにケチャップとタルタルソースがかけられ、その上にエビフライがのった、なぜ金沢名物なのかわからない、誰にでも作ることのできる料理です。そんなケチャップ味のハントンライスにもヒエラルキーがあるらしく、このお店がいちばんおいしいとよく耳にするのでいただきました。タルタルソースではなく、もっと酸味の強いソースがかけられています。そしてチキンライスはチキンライスではなく、具のないケチャップライスです。自分で作れば、もっと自分好みになりそうな隙のあるところがハントンライスのいいところ、なのかなあ。

■金沢 宇宙軒
ガイドブックの類いには一切載っていないのですが、全国的に有名なお店。ここに来たら、迷わずとんばら定食600円です。焼いてあるのになぜか柔らかい豚ばらの焼肉と、たれ。ごはん、味噌汁、漬物。付け合わせは千切りではなくざく切りのキャベツ。肉2倍は300円増し、ごはん2倍は50円増しです。男ひとりが殺伐と食べるなら、明るい吉野家ではなく場末の宇宙軒です。

■金沢 鮨 源平
金沢の台所、近江町市場の中にある鮨屋。ぶりや白えび、まんじゅう貝、かにみそといった加賀能登の魚介類を手軽に味わうならここですね。いつも行列、お酒をたくさん飲むことができず、長居するには向いていません。鮨は軽くつまむものということを再確認できるお店。明朗会計で、自分がいま幾ら食べているのかが常にわかるようになっています。

■金沢 祥琴
日本料理のような名前ですが、トリートメントスパに併設されているマクロビオティックのカフェです。メインを選べるプリフィクススタイルの玄米ごはんが人気のようですが、トリートメントでマクロビオティックならやっぱりこれだろということでナチュラルコースを注文。サラダ、スープ、メイン、玄米ごはん、デザートで2500円。私は外食しなければ自分で作っている無農薬の野菜しか口にしないのでふだんからマクロビオティックといえばマクロビオティックです。この価格が高いのか安いのかは判断つきません。味つけをもっとシンプルにしたほうが徹底している感が出て良いかなとも思いました。豆腐ハンバーグなどは20年前から六本木の豆腐屋にはありますし、神宮前のクルックなどは更に凝っていて最終的にシンプルで洗練されています。単にマクロビオティックを売りにするだけではなく、素材と調味料をもっと吟味したら、大して味つけしなくても素材本来の美味しさをいただくことができて結果として体が洗われるのではないかと思いました。

そんな感じで、要はフレンチ、イタリアン、スペイン、ロシア、トルコ、タイ、ベトナム、インド、メキシコ、パシフィックリム、バール、タパス、鰻、天ぷら、すっぽん、おでん、もんじゃ、どじょうなどは皆無の土地です。
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