春うたた 開いたページが アイマスク

一句詠むそうなので、タイトルにしました。今年は、早くも春眠不覚暁ですね。本のトラックバック企画の31回、今回のお題は菊花さん。詳しくはリンク先をご覧ください。「積読の山も誇りと本の虫」とのことで、積読本や未読本です。困りました。


購入した本は必ず読みます。もしくは、購入して1か月読まなかった本は手放します。1か月も手をのばさなければ、読む気がないんです。なので積読という状態は最長1か月です。自分の中の基準に達した本を残し、他はプレゼントもしくは髪を切っているサロンに差し上げています。処分するのは年間150冊ほど。学校や図書館に寄附する街の名士のようなことは死んでもしませんし、オークションは面倒だしブックオフは信念上利用しません。私は壁一面だか部屋中の書棚を満たす書籍という風景で何かの欲望を満たされるわけではありませんし、積読本の数の多さで一見自虐的に見える自意識をひけらかす趣味もありません。単純計算したらこれまでに購入した上で読んだ本は6500冊、購入して読まずに処分したのは3000冊。自分の住まいに書籍が1万冊なんて絶対いやです。1冊100グラムとしても100万グラムです。

引き取り手のないものは、ページをばらして「紙」として使います。私は、新聞は踏んでは駄目というのに靴の中に入れたり畳の下に敷くという日本の習慣における何かを理解できない人間なので、本が解体されて本でなくなっても何とも思わないのです。ちなみに書籍の紙質は、靴の水分をとるには不向きですがテーブルの食べこぼしを拭き取るには向いています。カバーはメモとして使います。文庫なら講談社文芸文庫が大きくて丈夫です。単行本のカバーなら切ってメッセージカードにしたりします。話が逸れがちで申し訳ないです。

一度手放した本でも、読みたくなることがあります。そこでまた購入するなら、購入する価値が自分にはあるという基準にもなるので何ら損した気分にはなりません。一度定価で購入して読んでいるのに古書を高値で購入するのも、自分がそこまでしたいならと購入します。古書店へ行くと30冊ほど購入してしまうこともしょっちゅうですが、1か月で読了本または処分本です。

未読本はたくさんあります。読みたいけれど入手困難だからです。これは完全に私の金銭感覚に過ぎないのですが、10万円は出せません。10万円以上する絶版古書は、私には存在しないも同然です。なので復刊するのをひとり願うしかありません。そんな願いが叶うのは、やっぱり稀です。復刊ドットコムは、票が多くても実際には購入しない協力票があるのを出版社も知っているという機能不全を起こしているので私は利用しません。

さて、そんな私が現在積読本にしているものは、プルースト「失われた時を求めて」の鈴木道彦訳文庫版です。ひとつの話のくせに13巻6000ページという長編小説なので積んでる場合じゃないだろ、おまえ挫折してるだけだろと突っ込まれそうですが、理由があるんです。私は、分冊されている一作品は、全巻完結してから読みはじめます(だって、途中までしか出ていないのに読みはじめたら、続きが気になってしまうではないか。私はそこまでマゾではない。というかマゾではなくてむしろ……)。11巻まで出ました。あと2巻で、最後まで読むことができます。

「失われた時を求めて」は定番中の定番、これを読まないと本好きとか小説を読むとか言えないとかなんとか言われている20世紀を代表する傑作だそうなので実は私も読んだことがありますし所有していたこともあります。ちくま文庫版で。でも集英社版の鈴木訳のほうが評判が高いのでずっと読もうと思っていました。しかし、あのティファニーブルーにも似た装幀の単行本を購入するのはセリーヌ全集を2回購入した私の金銭感覚と嗜好では選択肢の最優先にならなかったのです。もうすぐ鈴木訳を獲得できます。6000ページを一気読みできると思うと楽しみです。でも私は遠足の前の日もふつうに寝つけた人間なので、ふつうに生活してふつうに読みます。特別扱いなんてしません。

もうひとつ未読と言っても良いのは「類語実用辞典」(三省堂)です。購入して14年経ちますが、これの出番は一度もありません。これを購入した翌日に、もっと立派な「類語活用辞典」(東京堂出版)を購入しちゃったからです。こっちの出番は数多く、使い過ぎてカバーはぼろぼろになり捨てました。



さらにもうひとつ未読本がありました。Cerine“Voyage au bout de la nuit”で、私が4バージョン7セットの日本語訳を持っているセリーヌ「夜の果ての旅」のフランス語原典です。2冊持っているのは、ひとつは辞書を片手に単語の日本語訳を書き込むためのもので、もうひとつはそれらを頭に叩き込んで文章を「読む」ためのものです。というプランだったのですが、まったく進んでおりません。セリーヌを読むということは、フランス語の文法を修得した上で、文法破壊された文を読み解くという途方もない作業が待ち構えていたのでした。これではさらに破壊されたマスターピース「北」など到底無理です。私は死ぬまでに少なくとも「夜の果ての旅」と「なしくずしの死」と「城から城」と「北」と「リゴドン」を原典で読みます。ただそれだけのためにフランス語を学ぶ価値を、私はセリーヌに持っています。
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コメント

not subject

MlleC様
ブログの感想、買い物したものの箱を帰宅する前に開けてみるような感じで拝読しています。刊行ペース、ちょっと不規則になってきましたね。、出たら読んで次まで待たされるのと、出たら所有するけれど全部出るまで読まずにいるのと、どちらがマゾヒストを満足させるのか、これ書いてから考えたのですが私にはよくわかりませんでした。

四季様
確かにそうですね。「恋するオルランド」があれば処分しなかったかもしれません。「恋する」があってこその「狂える」ですし。カルヴィーノは「恋する」を読んだと私も確信しています。彼のことですからヴィヴァルディ、ヘンデル、ハイドンも聴いて観ているでしょうね。カルヴィーノはエッセイも読まれてほしい人です。

菊花様
主催お疲れさまでございます。お父さまの部屋が心配です。類語辞典は「しぶしぶ」と「いやいや」と「不承不承」の違いなど、知ってどうするというものばかりでおもしろいですよ。でも、語彙は、辞典で単語を覚えるものではなく、文章を読んだり会話したりする、自分の生活の中で獲得していくものだとも思うんです。徒に語彙だけ増えても、立場や信条によって選択すべき語彙は異なりますし、これを使うならこっちはこれというのもあります。選びとった語彙によってその人のキャラクターが決定づけられますし。また、どれだけ語彙を増やしていっても、言葉にできないものは存在するとも思います。私は類語辞典や形容詞辞典など、いくつかこのタイプの辞典を使ってきましたが、あくまでも以前の仕事であったコピーライティングのためであって、今では綺麗さっぱり忘れています。

ご参加ありがとうございます

kota様、このたびは積読本があまりないにも関わらず、ご参加下さり誠にありがとうございます。
>自分の住まいに書籍が1万冊なんて絶対いやです。1冊100グラムとしても100万グラムです。
実は父がかなりの蔵書をため込んでいるようで、最近床がミシミシ鳴っています。やばいです。そうか、数字を挙げて父を説得したら効果的ですね。
『類語辞典』なんだか欲しくなってきました。ブログやサイトなどで文章を書いていて、己のあまりの語彙貧困っぷりに愕然とする日々なので。

not subject

なんと「狂えるオルランド」も処分されてしまったとは…
うわー、譲っていただきたかった。
でも、私はかなり楽しみましたけど、
あれは万人向けの作品とはちょっと思えないですね。
特に「恋するオルランド」の翻訳が存在しない状態で
いきなり「狂える」を読むのはちょっとキツいと思います…。

カルヴィーノだって、絶対先に「恋する~」を読んでますよね。(笑)

not subject

『失われた時を求めて』、11巻を読み終えて次を待機中です。なるべく刊行ペースにあわせて読むようにしているのですが、時々刊行が延びたりしてキーッとなったりしました。
そうか、一気読みすればよかったのか…
私もマゾではなくてむしろ、な人間なので次からはそうすることとします。

not subject

あや様
短大でフランス語とはうらやましいです。私が出た大学は四年制なのになぜか第二外国語のない学校だったので、フランス語を体系的に学んだことがありません。
プルースト、長いですが読みやすいですよ。教養小説的に読むこともできますが、風俗小説として読むほうが楽しめると思います。

LIN様
読まないのに買うのは、読みたいからだと思います。飲食店で注文しすぎるような感じですかね。「捕獲」するだけで満足なのかもしれません。CDでも未聴がたくさんある人もいます。本は文字を読むという能動的な行いなのに対し、音楽を聴くというのは受動的にもできうることなので、CDのほうが重症とも言えますね。
類語辞典は、ネットが発達した現在ではあまり重宝しなくなりました。形容詞辞典がおもしろいですし、語彙も増えます。ただ、増えた語彙が社会に適合するかどうかというとこれまた難しい話で……。頭の中の思いを正確に言葉にすることは、語彙の寡多ではないような気もします。
フランス語に関しては、辞書と文法テキストだけの独学です。読むのは詩が多いです。テレビやラジオでの「フランス語会話」は、読むちからではなく会話する能力を養うもののような気がして、私の求めているものとは些か異なります。

四季様
四季さんも手放す派なんですね。勝手なイメージでは手放さない感じがしていました。
『狂えるオルランド』を1か月たらずで手放したときは、蒐集癖と反対の病気かもしれないと自分を疑いました。プルーストは手放さないと思います。あと私、気に入れば単行本を購入します。
私が手放すと判断するのはくだらない読み物ばかりなので、そんなものを公共の図書館に置くと文化度だか品格だかが雪崩を起こします。私の住んでいる市の図書館は、それでなくてもハヤカワ文庫やジュヴナイルが多いです。雑誌を読むために通うおじさんおばさんの溜まり場になっています。私は、図書館に子どもが遊ぶスペースや読むための椅子と机、そして雑誌などは不要だと思っています。
気に入ったもの、何度も読むもの、本質的な価値があるもの、おすすめのものは、手放さない。あたりまえのことですが、もどかしいです。

not subject

私も読まない本は手放しますけど、なんと1ヶ月とは!
あ、でも長編は揃ってから読まれるのですね。
やっぱりそうですよね。ちょっとほっとしました。(笑)

図書館への本の寄贈は、街の名士もするんでしょうけど
うちの辺りは、普通の中高年の方ばかりですよ。(図書館勤務)
昨日も老夫婦が、紐をかけた本を2人で運んで来られてました。
捨てるのも抵抗があるし、売るのもなあ… って時の
引き取り手としては便利ですよね。(笑)

not subject

私も読まない本は手放す派ですが、一ヵ月で見限るとはすごいなあ。
もしかして女も一ヵ月で見限ります?(笑)
読まないのについつい買ってしまうというのは、
あれ、どういう心理なんですかね?
買う時は「絶対、読む」って思っているのに…
おお!『失われた時を求めて』!
Mlle.Cさんと一緒に読み始めたのですが、1巻で挫折しました…
類語辞典、以前からほしいなあと思いつつ、まだ手に入れていません。
類語辞典があると語彙って増えます?
(こうしてブログに文を書いている時も、ちょいちょいことばにつまるものですから…)
そしてセリーヌをフランス語でお読みになる予定とは!
すご~い。
今もフランス語の勉強を続けていらっしゃるのですか?
そういえば、ぼちぼち春の番組改正。
NHKのフランス語会話、先生がイマイチで、挫折してしまいましたが、
また、始めたいものです。
kotaさんは、どんな方法で勉強をなさっているのですか?

not subject

1ヶ月経っても読まない本は読まないって、言えてます。
プルースト、読んでみたいと思いながら何年かが経過しました。確かに長い、ですけどいつか読んでみたいと思っています。

私は5年ほど前引越しの際に随分本を処分したので、今になって読み返したいと思いつつ読めずにいる本が結構あります。

セリーヌの為にフランス語を学ぶつよっさんはすごいです。
短大の時、大好きなフランス語を選択しましたが、私の頭はついていかずあきらめてしまいました。
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