ロラン・バルト『ロマネスクの誘惑』



著作集第9巻
晩年のバルトが向かった「小説」への思いにあふれた一冊なのかもしれないという、一部の読者が非常に期待するバルトの一側面を照射した上手いタイトル。中身は、1975年から1977年にかけて執筆されたものをまとめてある。このころのバルトは、自分自身について語るという方法論において新しさと知的エレガンスを伴う彼らしい切り口を見せた『彼自身によるロラン・バルト』と、古今東西の著書をつなぎ合わせた断章がバルト得意のアルファベト順に並んだ決定的名著『恋愛のディスクール』を執筆および発表している。変容を続けた哲学者に対して好きも嫌いも言えた資格などないが、私が最も好きな時期のバルト。例によって目次。

バルトの三乗--『彼自身によるロラン・バルト』をみずから書評する
ピエール・フリレー--造形作家の美術展カタログに寄せて
よいものは……--アンドレ・テシネの映画「フランスの思い出」について
ジェラール・ミレール『ペタン元帥の快楽扇動装置』への序文--言語の政治性
「ご命令ください、従います……」--クラパックスの漫画「O嬢の物語」への序文
恋愛のディスクール--高等研究院での講義の年次報告
ロラン・バルトが書く本の主題は……ロラン・バルト--新刊ニュースのインタビュー
ジャック・シャンセルとの対話--対談番組「ラジオスコピー」に出演して
ルノー・カミュに聞く--ラジオ対談の抜粋
言語をめぐる問い--『フィガロ』紙文芸特集号のインタビュー
ヴァカンスの読書は?(1)--『ヌーヴェル・オプセルヴァトゥール』誌のアンケート
ヴァカンスの読書は?(1)--『ヌーヴェル・リテレール』誌のアンケート
<フィクション>でない言説は存在しない--『サイエンス・フィクションの鍵』をめぐって
演劇としての楽譜--作曲家ブソッティの手書きエクリチュール
便概にして内容見本--フォリップ・ロジェ『サド、圧搾機の哲学』について
サド-パゾリーニ--パゾリーニの映画「ソドムの市」を批判する
バンヴェニスト--バルトが敬愛する言語学者への追悼文
覚書--ダニエル・ビュストーの版画について
オール・イクセプト・ユー--ソール・スタインバーグ論
ゾラ『獣人』へのまえがき--イタリア語版の刊行に寄せて
『ボルダス百科事典』第九巻へのまえがき--『人類の文学的冒険2』
書く--ドリュエ/グレゴワール共著『文字の文明』へのまえがき
『西洋文学』への対話形式によるまえがき--ラフォン社の叢書の一冊に寄せて
恋愛のディスクール(続き)/言語の威嚇--高等研究院での講義の年次報告
ロラン・バルト-彼のさまざまな読書--新聞のアンケート
占星術について--『アストロロジック』誌のインタビュー
アンドレ・マルローに関する意見--マルローの死去に際しての言葉
かくのごとく--リチャード・アヴェドンの写真集『ポートレート集』について
『浜辺』について--セペロ・サルドゥイの戯曲の上演評
ジャン・ダニエル『拠りどころと源泉』へのまえがき--幼年期の肌ざわり
ベルナール=アンリ・レヴィへの手紙--『人間の顔をした野蛮』について
ダニエル・ブーディネの写真について--バルトが詩的に語る
テンポの問題--リュセット・フィナスについて
Hのための断章--エルヴェ・ギベールにあてた悲痛な手紙
オペラにおける演技(解釈)の問題/書かれたテクストに施される訂正の問題
いかにしてともに生きるか-いくつかの日常空間の小説的擬態「弁舌を振るう」とは何か。権力をまとった発話をめぐる研究
二人で作る(二声の)テクスト--『ヴンダーンブロック』誌創刊号に寄せた回答
一種の手仕事--「テープレコーダーを用いた執筆」についてのアンケートの回答
発作のように語るバルト--『恋愛のディスクール・断章』の刊行に際して
このうえない孤独--ラジオ・カナダの番組によるインタビュー

最後の二編で語られ書かれる内容は『恋愛のディスクール』が好きな私にとって非常に興味深いものでした。

長かった著作集の刊行も、あと8巻のみ。
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コメント

セブン様
スターウォーズとビーケーワンの関連性が分からず、共感できず申し訳ないです。

金沢の書店については、日経MJの記事を読んだだけなんです。駅西の豆型は、たぶん違います。それより大きな書店が計画されているようです。

ビーケーワン

のタイトルを見てスターウォーズ連想してしまった
自分が素敵。

スター・ウォーズとクリスタル・ウォーターズ
なんか似てるな。

新しい本屋さんとは駅西の豆型のやつですか?

i様
ブログの画像の中だと、セザリア・エヴォラのCDを吊ったリボンもですよ。
CDということでコレクションテーマが“la musique”だった1996年の音符つきです。

ヱ儿乂スナ=ω/ヽァ/ヽァ

セブン様
もうすぐ床面積4200平米の書店ができますが、石川県は文化都市と謳っていながら私が読みたい書籍が一冊も売られていません。出張のときに時間があれば池袋のジュンク堂へ行きます。

再版でよければ新刊ありますよ。
http://www.bk1.co.jp/product/1659417

初版をお探しなら、とりあえずここがいいかと思います。
http://www.kosho.or.jp/servlet/bookselect.Kihon
ぱっと見たところ、初版第一刷は1785円からありますね。

ボルヘス「幻獣辞典」気になります。

売ってるのでしょうか。

ここ10年来、気になり続けてます。
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