■へら

お膳や重箱など平たいものを塗る産地では、塗りも下地もヘラを使います。山中漆器では下地でヘラを使います(塗りは刷毛です)。
下地師は刀で木を削り、作るものに合せたカーブで、しなり具合もちょうど良いヘラを作ります。お椀ひとつに、ヘラが11本。下地をつけて固まるのに最短で24時間。つまり11日かかります。それを3回繰り返します。そんなわけで、下地師の仕事場にはさまざまな形をした100本以上のヘラがあります。ヘラに下地の錆地が残っていると固まってしまい、刃物も役に立たなくなります。なので仕事が終わったらすぐにこそげとり、とった錆地は容器に戻して丁寧にラップして水をはって明日使います。こそげとるといってもヘラの表面はカチカチに固まってしまうので、水につけて保管します。そのため、ヘラの材料には水で腐らない桧が使われます。また、水につけておくと、しなりが適度になります。なので下地師の朝一番の準備は、今日使う(であろう)ヘラたちを水につけるところから始まります。

私は中華鍋で料理をするときに、自分で作ったヘラを使います。薄く削っていけばしなりを自分に合わせて調節でき、鍋にこびりつきがなく、傷もつかず、中華鍋のラインに沿っているのでとても便利です。中華鍋を洗剤で洗ったことなどありませんし、スパチュラなども不要。幅のあるヘラなら盛りつけもできます。

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