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2007年度後半もごちそうさまでした



おいしかった店。鮓一貫は移転してさらにフィリップ・スタルクの椅子を増やしました。ジョージ・ネルソンのプラットフォームベンチまであります。あんきもレタスにやみつきです。居酒屋、焼肉、焼鳥、寿司、蕎麦、精進料理、本膳料理、たこ焼き、大判焼き、70円のお好み焼き、牡蠣、ドライブイン、デリカテッセン。長い記事ですが、最後の最後に飛び道具があります。
■加賀 朝日
とんちゃん(ホルモンを鉄板で焼く)の基本。加賀のとんちゃんは朝日が発信源。とんちゃん2にヒネ鶏1の割合で鉄板にぶちまけるのが好き。さらにレバ刺がおいしく、ここではぜひ胡椒をもらってください。生のレバーにこれでもかというくらい胡椒を挽きかけ、塩と胡麻油。レバ刺に胡椒が合うことは余り知られていない。そのうち全国的にスタンダードとなる可能性がある。それくらい美味しい。もう戻れない。

■加賀 錦城山
十万石大聖寺城のあった錦城山のふもとにある、そのままの名前の店。とんちゃん(ホルモン)を塩胡椒で食べることができる。これは、新鮮なホルモンを丁寧に下ごしらえしないとできない。ほとんどの店は臭みを消すために味噌と醤油と香辛料たっぷりのタレに漬ける。というわけで何でもかんでも塩ブームだけれど、ホルモンを塩でいただける店は少ない。たれにつけられていないので、焼くとかりっと焦げる。それがまたおいしい。また、豚足もかなり美味しい。焼いて塩胡椒しただけなのに。苦手な人でも好きになることを保証します。さらに、裏メニューでお好み焼きがある。もやしが入っているのだけれど、ちゃんと芽とひげを落としている。飯倉キャンティのカレーやラーメン、代々木の某イタリアンのカルパッチョ丼、六本木の某ラーメン店の「1.5、3.25、5.5」という注文方法や、吉野家築地店の「完全つゆ抜きかたねぎだくだくだくとろぬき二切れあつしろ黄身だけ」といった注文方法など、裏メニューは美味しいと相場が決まっている。イカとニラがたっぷり入ったチヂミもおいしい。

■加賀 起白
山代温泉。焼鳥屋なのだけれどラーメンが名物。28時まで営業しているので、夜中にラーメンを食べたくなったらここ。にんにく醤油のたれで味付けされた豚足が絶品。豚足が苦手な人と行くと、とりあえず一皿注文して主に私が食べるのですが、結局ひとり一皿食べます。ちなみにコラーゲンは食べて摂取しても大して吸収されないので、美肌うんぬんには懐疑的です。焼酎も良いものが揃っています。

■加賀 つぼ家
たこ焼き。ソース、しょうゆ、塩、ネギ。それだけでも十分独創的なのに、いつも何か細工してくれます。メニューにありませんが、ピリ辛もおいしい。25時まで営業しているので、夜中に小腹が空いたときに重宝しそうだけれど夕方行くことが多い。てみやげにもうってつけ。ソース、しょうゆ、塩なら6個210円。だったのだけれど断腸の思いで4月1日より値上げ。6個250円となった。でもコンビニより安い。常に注文が入っているので、前もって電話した方が待たなくていい。以前、店の中で食べていたら60個買っていく人もいた。それが日常。音楽は聴いていると眠くなるのが好きな店主。植木屋だか庭師だかで、春から秋はどうなるのか少し不安。塩たこ焼きを買って帰る。フライパンにオリーブオイル。にんにくを加え、香りがオリーブオイルに移ったら取り除く。種をとったホールトマトを加え、ドライトマトを少し。煮詰める。塩こしょうで味をととのえ、バジルをちぎって入れて火をとめ、オリーブオイルを少したらす。できあがったそれを塩たこ焼きにかける。みじん切りしたイタリアンパセリをかける。超おいしい。

画像はネギ。辛みが強くなく、爽やかな唐辛子をトッピングしてもらった。
器はこのページの上段右からふたつめ、羽衣盆の朱。

表面のカリカリ感(中はふわとろ)が伝われば良いのだけれど。

■加賀 姫屋
蟹の水揚げで有名な橋立。かつては漁師がツケで飲むから飲食店が続かないと言われていた港町。でも最近では飲食店も増えている。観光客向けの蟹コース2万円という店がある一方で、姫屋は安い。その日とれた魚が、刺身でも煮ても焼いても炊いても揚げても500円。焼酎は2000円でボトルキープできる。チャージはない。つまり、ボトルがあれば一品食べて焼酎飲んで500円である。今日は食べて飲んだなあ、といってもひとり2000円。そんなわけで、いつも漁師で混んでいる。

■加賀 あったまろ
以前の名前は山田だった焼肉店。ここでは、ハラミ、ミノ、ヤゲン、冷麺。

■加賀 左らく
山中温泉に一軒だけ残った、山の中の寿司屋。とはいうものの鯖は締めすぎてなくてレア感たっぷり。でもここはまあ、寿司をいただくというより親父の話をいただくという感じ。安いです。いろいろうるさくてこわいイメージを持たれている店主ですが(こんなこと書くとイメージが崩れて営業妨害かもしれないけれど)、酔った私をクルマで送ってくれたりします。

■加賀 白鳥
今では珍しくなった、国道沿いのドライブイン。ここに来たら、男は夏でもおでんと熱燗。

■小松 生雲
宿坊ですが昼食のみでも予約しておけば可。どんなところなのかは、サイトをご覧いただくのが手っ取り早いです。味うんぬんよりも、電気はソーラー、水は雨水というところに惹かれます。小高い山のてっぺんにあるという立地のためでしょう。ランプを売り文句にしていながら電球で、年間40万件の宿泊申し込みがあるそうで、サイトには「予約倍率」まで載せていて、予約は電話のみだそうで、となると1日15時間対応しているとしても1分間に1.2本の電話があることになるので恐らく超人的な早業でこなし、一人ひとりお客様を大切にするため客室は増やさないと言っていたのに別館を建て、蟹はロシアの冷凍で、他の料理も業務用の冷凍食品を大量に仕入れたものとスーパーのお総菜で、掛け流し温泉と言ってるけれどたまにタンクローリーで運んできたお湯を循環しているだけで、洞窟風呂は洞窟ではなくプラスチック製で、浴槽はアオコが発生するくらい掃除がされていなくて、ネットのレビューの高評価はどれも同じ文体で、ほんとのことを書くと削除されて、女将はセレブ志向でタレントを目指して金沢で2年ほどテレビの仕事らしきことをしていた人で、テレビに出るのが大好きなので客の相手をするのはテレビの取材が入ったときだけで、ブランドもの大好きで、いらなくなったら販売し、自分の名前を冠したコレクションを発表していたこともあるけれど粗悪な服だったので売れずに終わり、バリとボラボラに感化されて景観が台無しのプールを作り、最近ではスパやセラピーを抽象的に謳い、ブログは建物や部屋の紹介しかしないという不思議さで、女将に呆れて主人の弟夫婦をはじめスタッフすべてが辞めてしまい、それでも主人はポルシェとフェラーリに乗っていて、彼は取材のレポーターに手を出すことで地元では有名で、女将もそのひとりだったに過ぎず、珠洲にラスベガスを創る研究会の役員で、トイレ共同でも1泊20000円、トイレつきだと1泊35000円の、全国的に有名でしょっちゅうテレビにも出る、客への応対は粗雑だけれど有名人やメディアの取材ではすばらしく丁寧な、昔はほんとうにランプだけしかなく1泊2食で10000円未満だった、とある「一度は行ってみたい宿=二度と行きたくない宿」とは全然違います。蛇足ですがランプの宿なら青荷温泉がおすすめです。



■小松 Les Halles
レアール。デリ。とある場所でご一緒になり、話をうかがっているうちに間違いないと確信した。東京出身でフランスにも4年いたのだけれど、なぜか石川に店を構える。このあたりではフレンチやイタリアンでもあまり作っていないパテやテリーヌがいつもあってうれしい。あとはワインとバゲット(シェフがおいしいパン屋を教えてくれた)を買って帰れば楽しい休日。マシュマロやジャムなどもほんもの。鶏だけれどコンフィがあり、サラダの種類も豊富。おまけに安い。超安い。倍出してもいい。でも倍払うわけないのでたくさん買う。下の画像はレアールで購入した品々による日曜日の午後。つぶ貝のブルギニョン(ズッキーニ入り)、豚レバーのテリーヌ(オリーブオイルをかけてローズマリーを散らす)、辛味大根(紫色した手ごわいやつ。詳しくは→)のピクルス。そしてディーン&デルーカの深い緑色をしたオリーブ。あっという間にワインがなくなる。店内でいただくこともできます。



■小松 昌徳園
塩ホルモンがあると聞いたので行ってみた。「塩ホルモン」は上シロ(350円)のことだった。すべての肉が、塩、たれ、味噌から選べる。ボリュームが尋常ではない。4人で行って一人前でちょうど良い。イタリアでトリッパの煮込みを食べたとき、こんなボリュームだった。牛すじとサラダもおいしい。次いでハラミ。

■白山 山法師
大判焼き。餡たっぷりで皮もおいしい。前もって電話しておかないと、大判焼きひとつといえど数時間待つ。100個買っていく人もざらだからだ。ヤマトで全国発送している。ヤマトが毎日集荷に来るくらい、発送が多いということだ。

■金沢 小松弥助
鮨。県外からも予約して訪れるという超人気店。東京からの来客と共に訪ねる。鮪に七味、穴子は手巻きと握りの塩、平目には梅肉。基本は醤油をつけない江戸前。石川の人間にとっては江戸前の仕事をする店の絶対数が少ないからありがたい。でも、東京からわざわざ食べに来るほどのものでもない。しゃりがふつうだし、貝やひかりものが少ない。かといって地のもの(蒸し海老ではなく生の甘海老)だと江戸前にならない。同行者も同様の感想。最近の寿司は仕事をしているほどすごいという風潮がある。烏骨鶏でだしをとり、どこどこ産の塩を使い、チャーシューは備長炭で炙るとかいう一時期のラーメンのようだ。ねたが新鮮なことだけが売りの刺身をのせたおにぎりという感じのものは問題外としても、仕事していれば良いわけでもないことに食べる人も気づく頃だと思うのだけれど。ほんものの技や仕事というのは、判りやすいはったりではなく、ぱっと見わからないものだ。

■金沢 乙女寿司
乙女座の私なら行かないわけにはいかないので行ってみた。ここも穴子は塩。うーん。たれだか煮きりだかつけだか知らないが、そこを放棄したら鮨じゃないだろ、あっ、ここは寿司か、というのはともかく、雲丹は軍艦ではなく握りだったのでうれしい。ちなみにわたしは雲丹と白海老は握り、いくらはまぶした小鉢が好きです。白子の吸い物はうまく調理してあった。握りと炊き方はふつうだったのだが、米がとてもおいしかった。気になる。どこへ行ってもそうなのだけれど、かんぴょう巻きを最後にいただいた。ちゃんとしたかんぴょうだったので、江戸前の仕事をしてきたのだろう。ちなみに、最近私は鮨をいただくときは酒を飲まずに水を飲む。

■金沢 福虎
ビルの中にあり、テレビがついている、どこにでもある居酒屋。メディアには載らないが、知ってる人は知ってる。何を注文しても外れなし。もずく酢に感動できるのは石川だとここだけ。かぶら寿司、げんげ、のどぐろ、金時草、加賀蓮根といった地のものも網羅。ひとつひとつの味つけがすばらしい。だしをとるというのがどういうことなのか、店構えと女将の着物だけは立派な料亭や割烹は、このテレビのついた居酒屋で勉強したほうがいい。観光客は初日に鮨か加賀料理を食べたら、二日目は迷わずここ。すっぽん鍋もあるそうなので、コークスを使っているか確認して次の冬に是非いただいてみたい。

■穴水 かき浜
能登の穴水は牡蠣の産地。トップシーズンには「かき祭り」なる魅惑のイベントもあります。市場で一斗缶を買って帰り、殻をむきながら食べるのは最高です。冬、輪島へ仕事で行く帰りは穴水で牡蠣。かき浜は穴水の外れ、入り江に面した場所にあります。自分で養殖しているそうです。かきフルコースは3990円で焼き牡蠣、牡蠣フライ(何個もくっつけてあり、まんまるで大きい)、牡蠣飯、それと小鉢と味噌汁など。牡蠣なら4ダース食べたことのある私、出された牡蠣は残したことがありません。しかし牡蠣飯は牡蠣しか食べずごはんは残しましたごめんなさい。焼き牡蠣は殻が弾け飛ぶのでご注意を。

■氷見 氷見魚市場食堂海寶
富山県氷見市。金沢の鰤は、たいてい氷見のものです。氷見漁港の中心、競り市場の上にあるここは眺めも良く、海しか見えず、おまけに運が良ければ海の向こうに立山連峰を望むこともできます。漁師や漁港関係者のために朝5時半から営業。中船定食がおすすめ。刺身二点、焼魚、かぶす汁。焼魚定食が1000円で、刺身は日替わり、かぶす汁は単品500円なので、1800円の中船定食にしておけばいいわけです。魚は新鮮でこりこり。かぶす汁というのはぶつ切りした何種類かの魚をお湯にぶちこみ、味噌を溶く味噌汁。私のときは鰤とカワハギと蟹がごろんごろん入っていた。ねぎと七味をたっぷりとかける。酒はもちろん立山。橋立の居酒屋もそうなのですが、地元の人は魚を食べずにコロッケやマカロニサラダなどをつまみにビールを飲んでいます。私のようなアウェイ組は魚。なので一目で誰がどっちなのか判ります。

■福井 弥吉
炉端焼。馬刺があったので食べてみたら冷凍ものでなくて驚いた。タレにつけた手羽先、しいたけなどを焼いてもらう。あとは、かわはぎのお造り、牛すじ煮込み、冷奴、たこ焼きの揚げ出し。最近、魚のメニューが豊富な店の肉は美味しくて、その逆はあまり美味しくないような気がしています。それが何を意味するのか今はまだ解らないけれど。

■福井 正大
小洒落た居酒屋。レバ刺、鳥刺、鳥わさ。どれにしようか迷うので、全部食べてしまう。肉を食べるときは焼酎が合うのだけれど、刺身なので酒。

■福井 紋や
白木と白壁、ゆとりある店内。香箱蟹などをさばく仕事は確かなもの。福井ならではの、鯖を漬けた「へしこ」は酸味が効いていてさわやかな独特の味。いもを素揚げしただけのものが、たまらなくおいしい。湯豆腐を注文したら、まいたけが入っていた。いしづきの部分もある。とてもきれいないしづき。ものすごく丁寧に仕事している。切り落としてしまえばいいのに手間暇かけて無駄にしないところ、しかもそれが湯豆腐という何でもない料理で行われることに感動した。で、そのあと大して日をおかずに、おまかせでいただいた。
先附:胡麻豆腐
酢物:水ガニの酢の物
造り:平政、平目、ガサ海老
焼物:桜ます西京、鱈子フライ、鯖押し寿司、生ハムと一寸豆の真丈、のし梅酒粕揚
椀物:若狭ぐじのかぶら蒸し
強肴:黒毛和牛ロース石焼き
留椀:手延べおろしうどん
菓子:豆乳レアケーキ
さらに、いもを素揚げしたものを出してくれた。福井の海産物を織り交ぜながらも、それだけではないバランス感が程良い。料理のタイミングも客のリズムをつかんでいる感じ。板場にも厨房にもフロアにもスタッフはいるのに、いつも店主は店の外まで見送る。だんとつでおすすめの店。

■勝山 板甚
福井県の山の中にある勝山は、Forbes誌の世界で最もきれいな都市ランキングにおいて唯一日本からトップテン入りしちゃうくらい美しい街で、だからというわけでもないのですが好きです。特に日が傾いたときの平泉寺白山神社の奥の院から振り返ったときの眺めは、あれで心が洗われなかったらもう何をもってしても駄目だろうってくらい美しい。板甚は創業400年の料理旅館。築100年以上の古民家を移築した別館「嘯柳閣」で。武士っぽい料理。貴族でも禅でもない、綺麗寂びの武家茶道を思わせる。

■勝山 南茂
どんな街にも、子どもが百円玉を握りしめて買いに行く、安いたべものがある。南茂はお好み焼き屋。驚愕の価格、1枚70円。いま70円で何が買えるだろう。肉は入っていないけれど、もうそんなことどうでもよくなる安さ(かつて住んでいた江古田に「焼きそば200円、肉入り焼きそば300円」という店があったが、このお好み焼き屋に比べれば遙かに高級品である)。お好み焼き味のスナック菓子より安い。ぺらぺらなのでふたつ折り。肉がなく、とろろ昆布が入っていて、さっぱり味。サラダ感覚でいけるお好み焼き。勝山からの帰りは南茂に寄って4枚買って、食べながら帰る。ふたつ折りなので運転しながらでも食べやすいのだ。奥にテーブルもあるのでイートインも可。みんな5枚10枚と買っていくので、やっぱり待ちます。

■あわら 一滴庵
石川県から福井県へ入ってすぐの北潟湖畔にひっそりと佇む蕎麦屋。看板はない。当然十割。越前ならではのおろし蕎麦、大根おろしを絞った汁をつゆにしていただくからみしぼり蕎麦、そして山葵蕎麦。冬は山葵がなく、もり蕎麦になる。品書きはそれだけ。日本酒もないとは超強気。どれも謙虚で小さなポーションなので、いつも全部いただく。気合いで繋いでいるのではないかと思わせるなめらかさ。田舎蕎麦とは一線を画す更科系。白くて透き通っている。蕎麦粉100パーセントにありがちなボソボソ感はゼロだし水っぽくもない。とてもとても心地よい喉ごし。つゆはつゆというより出汁といったほうが正しいのではないかというくらい香りが立っている。阿佐ヶ谷から茨城に移った慈久庵(私は阿佐ヶ谷にあった頃でもここを東京で一番とは思わなかった点でのみ田中康夫氏と胃見が一致する)と似ている。値段と店の空気は全然違う。田舎にもこんな蕎麦屋があるんだと驚いた。山葵をつまみに日本酒を飲みたくなってくる。東京から訪れた知人を連れて行ったら、からみしぼりの強烈さに悶絶していました。大根おろしよりも絞り汁のほうが辛いです。13時には売り切れていることがあるので、行くなら11時30分の開店と同時に。一番乗りして静かな店から北潟を眺めるのは、なかなか悪くない時間です。北潟にはサイクリングコースがあって、目印の赤い橋はクルマ通行不可です。冬はコハクチョウがたくさんいます。ハクチョウ南蛮蕎麦、なんて思っちゃう私は人でなしかもしれません。

■高山 州さき
高山へ行ったら飛騨牛、というのは短絡的。古い街には古くからの料理がある。現在では数少なくなった本膳料理をいただける店。日本料理にはいくつかの系統があり、平安貴族が確立した宮廷料理である有職料理、歌の会でお酒を飲みながらいただいた会席料理。懐石は茶道、精進料理は仏教から生まれた。現在に至るまでに主流でなくなったり廃れたりした調理方法もある。たとえば平安時代初期に有職料理で確立された「式包丁」は、一切手を触れずに魚や鳥や野菜をおろしたり切ったりする技法。これは今でも残っている。日本人だったら、ハイグレードなのが懐石で宴会が会席、というだけではなく、よりフォーマルでオーセンティックな料理を知っておきたいもの。本膳は武家料理であり大名料理。州さきは飛騨高山藩の流儀を現在も守っている。昼も夜も同じ値段なのがうれしい。甘いものの種類が多くて、いかにもアスリート向けというか戦闘態勢万全、という感じである。

■博多 某所
かつて博多に「酒の手帳」という凄まじい名店があった。九州でいちばんおいしい肴を食べることができた。いや、日本一の居酒屋かもしれない。看板も暖簾もない。絶対に居酒屋だなんて判らない。テーブルは建築現場の足場のような板。冷やかしで来るような客は入れなかった。名のある蔵元の酒だろうと、質が落ちてきたら批判して「こんなの酒じゃねえぞ、飲んでみろ」と飲ませる。で、焼酎はお湯割りのみ。ロックを注文すると叱られる。ただの頑固親父かというとそうではない。そうできる資格があった。生ハム(1か月前に予約)も薩摩揚げも牛舌の薫製もアイスクリームも味噌も野菜も自分で作った。関鯖や関鯵が食べたいと言うと、市場へ仕入れに行ってくれた。関鯵を天日干しした開き(ちなみに私がいちばん好きな朝ごはんは、鯵の開き)が食べたいと言えば、事前に作っておいてくれた。
でも、そんなやり方で採算がとれるわけなどなかった。随分前に、店を閉めた。でもときどき、出前で酒と料理を振る舞ってくれる。センチュリオンカードホルダーになれば、銀座の鮨屋を自宅に呼べる。しかし、酒の手帳こそが桃源郷だ。居酒屋、範囲を広げて飲食店でもいい、味噌ひとつとっても自分で作っているところがどれだけあるだろうか。バターを自分で作っているフレンチのシェフが、どれだけいるだろうか。彼にとっては「厳選された素材」と「選び抜いた調味料」で料理することも、ファストフードと変わらないのだ。日本全国の飲食店組合のような団体が、ここの親父を呼んで食事会だか講習会を開いている。親父はクルマに食材と調理器具を詰め込み、夜中にクルマを走らせる。飲食店経営者たちは一切手抜きのない仕事っぷりを目の当たりにして「うちではここまではできないなあ」などとへらへらした顔で間抜けな感想で済ませ、ただの組合連中の酒宴と化す。飲食店の行き着く先のひとつが、この親父だ。これ以上に全身が震える料理を私は知らない。



ikumoview
A view from IKUMO



僕の足の下、頭の上、そしていたるところ、沈黙、
逃げ出したい気持ちにさせる沈黙、
永遠の沈黙と、はてしない山嶽のみ領し、
空気は動かず、万物は夢見る姿。

この寂寥の中にあって、空はさながら、
水のおもてに身を映して眺めるかのよう、
そしてかなたの山々は、厳かな姿勢に、心静めて、
人間の耳には聞えぬ神々しい神秘に聴き入るかのよう。

「相容れないもの」ボードレール 福永武彦訳


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コメント

narutohime様

加賀市梶井町43-5
電話は以前と同じ0761-74-8555
です。まだgoogle mapでもmapionでもYAHOO!地図でも出てきません。
国道8号線の松山交差点を北へ(海のほう)曲がり、ふたつめの信号を右折、
すぐに、右側にコンクリート打ちっ放しの建物があります。そこです。
または、金沢方面からですと、バイパスと旧国道8号線が合流してから最初の信号、
分校交差点を右折、旧い道に入ります。
次の信号を直進、しばらく行くと左側にあります。
たんぼの中の一軒家です。
いずれにしても予約しておいた方が間違いないので、
そのとき道順を確認してみてください。

教えてください~

突然スミマセン・・・
「鮓 一貫」さん、何処に移転されたか教えていただきたくてメールしました。
よろしくお願いします_(._.)_
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