マイ箸

エコだかロハスだか知りませんが、今年に入ってから「マイ箸あります?」という問い合わせを百万件いただいていています。嘘です。誇張です。でもまあともかく、問い合わせをいただいてありがたいかというとそうではなく、私は「マイ箸って何ですか?」と尋ね返します。すると大抵相手は言葉を失います。マイ箸とは何なのか、本質的な問いを突きつけられてしまったのです。というよりマイ箸は既に一般常識なのに何でこの人は知らないのかしら、と唖然としているのでしょう。で、沈黙させてしまったのは私の責任、私から言葉をつなげます。「いま持ってる箸じゃだめなんですか?」と。うるさいところに電話しちゃったなあと相手は思っていることでしょう。

私は箸も作っています。広島県にいる、箸だけを作っている職人に依頼していて、木地は漂白剤も防腐剤もかけられていない国産を半年近くじっくりと乾燥させたもので、下地にも塗りにもポリサイトや石油溶剤を使っていません。木は朴を使っているので軽く、表面は乾漆仕上げで、丈夫ですべりにくくなっています。でもそれは「マイ箸」ではなく「箸」です。マイ箸なるものは作るつもりも売るつもりもありません。箸を一本も持っていない人のほうが珍しいし、あなたが今使っているその箸がユア箸じゃないですか。それを持ち運んでください。木にしろプラスチックにしろ鹿の角にしろ金属にしろ、なぜ新たに箸を買い足す必要があるのですか? 資源を大切にとか言ってるその口と、行動が逆です。要は、箸じゃなくて箸袋なわけです。「マイ箸」なんて環境ビジネスに騙されちゃいけません。

じゃあ箸はいま持っているのを使うとして、箸袋か箸箱をひとつ持てば良いわけですね、というとそうでもありません。地球に優しいエコな私とか思っているなら、袋なんて買っちゃだめです。それを作るにも資源が使われ、エネルギーが消費され、あなたの手元に届くまでには莫大な物流エネルギーが消費されているのです。

そんなわけで前口上が長くなりましたが、今回は、なぜか漆器屋による箸袋のつくりかたです。日本には「包む」という古くからの知恵があります。
まず、旦那のタンスの引き出しを開けてください。彼の好みに合わなかったらしきハンカチが引き出しの奥底につぶされて眠っています。高校のときのヴァレンタインだか誕生日だか就職祝いだかでもらったもので、使えないけれど捨てられないのでしょう。旦那のいない独身女性や男性は、いちばん使わないハンカチか、ぼろぼろになった手ぬぐいを正方形に切ってください。

それを三角に折り、箸を置きます。


角を折り曲げ、袋状になったところに箸を入れます。


反対の角も折り曲げます。
こっち側も袋状のところにどうしても入れたい人は入れてもかまいません。


で、くるくる巻きます。


あとは輪ゴムやリボンで留めればオッケー。

GIANFRANCO FERRE'のハンカチにHermesのリボン。成金ですね。絶対いやです。ISSEY MIYAKEのハンカチにPierre Marcoliniのリボン。なんかあともう少しな感じ。無印良品の黒無地のハンカチにラトリエ・ロビュションのリボン。これが好みです。

意外とおすすめなのは、靴ひもです。ちぎれたチョーカーも良さそうです。
腕に覚えのある人は、縫ってしまっても良いでしょう。
さらに腕に覚えのある人は、ボタンや紐をつけちゃってください。
(着物の端布なんかで作っても趣がありそうですね)

でも、あまり加工すると飲食店でハンカチとして使うことができなくなります。

というわけで「マイ箸」を持つために、箸を新しく購入する必要などありません。
携帯するために箸袋を買う必要などありません。
地球のことを考えるなら、何も買わない。これがいちばん。

貧乏くさくていやですか? やっぱり「商品」の箸袋がほしいですか?
それではただの「消費者」です。生活者ではありません。
とはいうものの、私も箸袋・箸箱のオーダーも承っています。
革・布・木から選んでいただき、耐水性を持たせるために漆を塗ります。
蓋が箸置きになるベネトン方式も可能。値段は1万円からになります。
でもこの狂騒があほらしくなってきたので、黒柿とカーフを使って、
スワロフスキーや真珠を埋め込んで、40万円くらいのにしようかとも思っています。
つまり、そんなもの売りたくないのです。

昨夏、アニヤ・ハインドマーチがエコバッグを発売するというので徹夜組も出る大行列ができて、あっという間にエコバッグは売り切れ、何時間も行列に並んだ「エコなセレブ」たちが大騒ぎというかプチ暴徒化したという小さなニュースがありました。エコなのかエゴなのか、私にはもう判りません。ニンゲンって変ですね。

参考リンク:結局ビジネスになっている変な人たち。
マザーアースネット マイ箸クラブ
マザーアースネット マイ箸袋
マイ箸推進プロジェクト
マルシェ
マイ箸クーポン
amazon マイ箸
イーズ森のお守り
マイ箸の会
お箸・マイ箸専門店
あわや マイ箸
エコショップ すが
マイ箸の会
ハートフルパワー
ありがとうマイ箸
パンズショップ
日経BP スタイリッシュなマイ箸
箸袋屋
楽天市場 箸袋
こばやし漆器 箸袋
のあの舟 箸袋
MOTTAINAI-SHOP
虎竹の削り箸+箸袋
箸専門店 かけ箸

きりがないのでもうやめます。
「割り箸の97%は中国産!」なんて煽っているところで売っている箸が、どう見ても中国産。希少な竹を使って商売する人。既製品の箸袋を仕入れて売る漆器屋。ラーメンや納豆など食べるものによってマイ箸の使い分けを提案をする団体。
わけがわかりません。

数少ない、まともな人たち。
マイ箸袋の作り方
リバーシブル箸袋の簡単な作り方
箸袋の作り方


私は地球温暖化には懐疑的です。
ただ単に、資源を無駄にしたくないと思っているだけです。
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コメント

ウッシー様
はじめまして。コメントありがとうございます。
そちらのページに飛んだ方がいらっしゃるんですね。
リンク貼って良かったです。

ネットは「箸袋を自作している人いないかなあ」と思ったら検索するだけでウッシーさんのようなページを観ることができるところが便利です。私は、ボタンをつけることはありますが、何かを最初から自分で裁って縫って作ったことはありません。なので、作り方を紹介しているページがあってとてもありがたく思いました。私の箸袋(としてのハンカチの使い方)は、1枚で全部こなしてしまえというぐうたらな発想です。

ブログ拝見しました。糸を一本通すだけなら簡単ですね。ハンカチのままですし。傘をはじめ、ウッシーさんの知恵とまめさには頭が下がります。

i様
客集めの企画にしている飲食店組合のような団体もありますね。

漆器屋が、気兼ねして沈黙するのは、今の漆器の世界そのものです。みんなで助け合っていこうとか、みんながんばろうとか言っていますが、裏ではものすごい足の引っ張り合いです。それでいて、箸に有害物質が使われていて生協から指示が出たことや、日本にはいないはずの虫が中国産の漆器から大量発生して私の住む街は大騒ぎたとか、私の住まいの近くを流れる河の水にカドミウムがたくさんあるとかは、地元メディアを含めて完璧に隠蔽します。そんなのが気持ち悪いですし、自分が何をして何を言っているのか、どう思っているのか、実生活とブログでギャップのあるダブルスタンダードはいやなのです。

非公開コメント様
リンクをしてはいけないという法律はありません。また、トップページ以外に直接来られては困るのであれば、私ではなくGoogleやYAHOO!などのロボット式検索エンジンにその旨を伝えたほうが良いのではと思います。HTMLの書き方も再考されると良いですね。検索に本文や見出しが引っかからないようにする方法はたくさんありますよ。

美結様
こんばんは、コメントありがとうございます。
美結さんの心がけや生活態度、時折ブログで拝見して敬服しています。
(ちょっと長くなっちゃいました)
マイ箸なんて言葉ができる何百年も前に、日本には「おてもと」という言葉がありました。手元に置いておくものという意味で、遊郭や懐石など遊び人の世界から生まれました。
携帯性は悩みどころですね。男性ならジャケットの内ポケットがあるのですが……(スーツを着ない私はクルマのダッシュボードに入れています)。紳士物はサイズが約30cm角と大きいのと、婦人物はレース、ガーゼ、シルクなど、繊細な素材が多いのであまり適さないのかなと思ったんです。それらの素材は、飲食店で口やグラスを拭うのにも抵抗があります。箸を包むだけなので吸水性や乾きやすさは不要ですし、おっさん仕様のコットンでいいんじゃないかと。で、女性からのプレゼントなら女性の目で見て悪くないもののはずですから、好みやテイストはありますが女性が持っても変じゃないかなと思ったわけです。

ハンカチで巻く最大のポイントは、食事中に口を拭え、食べ終わったら箸を拭けるところです(マイ箸は洗って何度も使うから水と洗剤を使って環境破壊だと主張する人がいるんです世の中広いですね)。日本では婦人物のハンカチは手を拭くものに変化していますね。本来ハンカチは鼻をかむものですが、私は鼻をかむとき何も使いません。モデルに教えていただきました。ティッシュで鼻をかむと鼻の肌が傷つくので、彼女たちは例外なく手洟だそうです。

エコバッグも、新たに購入するものではないような気がします。同じレジ袋を何度も使う田舎のバアサンのほうが余程エコです。また、レジ袋でごみ捨てしていた人はエコバッグを使い始めるとゴミ捨てのためにゴミ袋を購入せざるをえなくなります。このあたりは私には判断つきかねます。

国産の割り箸は家具を作った余りや間伐材を利用しているので、ゴミが減るという考え方もできます。そして、中国産の木材に入っている漂白剤、防腐剤、防カビ剤、農薬などはありません(これはスプーンや串なども同様です)。他のあらゆるものと同じく、日本産と中国産はまったく別物です。なので、国産の割り箸までどうこう言うつもりはありません。つまり割り箸には環境問題とチャイナフリーというふたつの側面があるのです。

はじめまして。
「モーばあちゃんの自由帳」のブログの管理人で、
ウッシーと申します。
箸袋の作り方の記事をご紹介くださいましたようで、
まことにありがとうございます。
箸袋は簡単に縫えますが、
それでも苦手と思われる方もあります。
私もこちら様の記事の箸入れと同じような物なら、
気軽にマイ箸が携行できると、かねがね思っていました。
そして本日、私もハンカチをそのまま使った箸入れを
記事に致しました。
手間なしで、お金もかけなくても
マイ箸を持って出かけて頂きたいと思います。

ユア箸ワロスwww
にしても、マイ箸持参の方にはプリンをサービス!
てのも偽善的で反吐がでるね。
でもって漆器屋さんも混じってるけどだいじょうぶ?

携帯しやすいように別のお箸を購入しそうになっていました。
昨日もお蕎麦屋さんで割り箸使っちゃったし、お手拭は紙製。
メンズのハンカチは織物がしっかりしているからいいのかしら?
と、感化されながら、昨日はエコバッグを購入してしまいました。
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