■実験
木地。私は、ろくろ挽きが得意だと自負している山中の職人に対して、そんなに得意得意言うのであれば一度でいいから極限まで薄く挽いてみてはいかがだろうかと思い、いろいろと依頼してみたりします。
しかし残念なことに、なんだかんだ理由をつけて断る職人がほとんど。薄ければ薄いほど、わずか0.1ミリの違いも大きくなるため、非常に精緻でなければなりません。そして当然、薄くなると割れやすくなります。ただ、私としては山中漆器はろくろ挽きが得意と言っているのだから、そこまでしてから、得意と言ってほしい。

ごく稀に、挑戦してくれる職人もいます。私は彼に厚さ0.4mmの盃を挽いてもらいました。枯れ葉のように軽く儚い盃。先日も、アメリカ人がお越しになり、てのひらに乗せて何やら叫んでいました。ここまでできれば、得意と言う資格はじゅうぶんあるでしょう。

下地。表に出てこない、まさに下地。ふつうは仕上がったところに黒や朱を塗ります。なんといっても下地なのですから。でも私は、透き通った透漆を塗ってみたこともあります。透漆が時間の経過によって一層透き通ってきたらどうなるのか知りたかったからです。

塗り。これまでに鉄、アルミ、ステンレス、ガラス、アクリル、ポリプロピレン、ゴム、布、縄、和紙、洋紙、段ボール、革、陶器、磁器に塗りました。ほとんど商品化していません。漆を塗る必然性がないものは商品にしないからです。



氷壇盃のアクリルのボウル面に透漆を塗ってみたもの。
(底面やボウル面の形状および処理は、完成した商品と異なります)
駄目です。

確かに質感や見え方はおもしろいです。
でも「これはおもしろいから何か使えないかな」
という発想法というか順序は間違っています。
作り手の思いつきに過ぎません。

いろいろ試してみるのは、
ソリューションを導き出すための引き出しを増やすためなのです。
関連記事

コメント

非公開コメント