Portishead/Third



【bristol】

出るとは思わなかった、11年ぶりの3枚目。
この「P」を見るだけで心がさわぐ。
ブリストル直系、ポーティスヘッド。
退廃的で厭世観に満ち、メランコリーに包まれる、真昼の悪夢のような音空間。
ぼろぼろの服を着て廃墟の奥で頭を抱えているような音。
ポーティスヘッドだけが現出したあの世界は、和らいだ。
まがまがしさと攻撃性を増し、速くなった。
表に出て暴力を振るっているかのようだ。

それでも、ベスの歌声を聴けるだけでうれしい。
11年、ライブ盤から数えても10年。
ホラー映画のような、ベスの上ずった声。
私は、フォーキーな彼女のソロアルバムまで持っている。

そのライブ盤がいちばん好きだ。
これは、購入するならDVDをお勧めする。
ラストの曲はこんな感じ
バンドにマニピュレーターとDJがいて、ボーカルはベス。
これがふだんのポーティスヘッドの編成。
生理的嫌悪感を醸す音色はほんとうに嫌な音色だ。重くて暗い。
このライブでは、ニューヨークフィルを従えている。
3分半を過ぎた後半、トリップホップにカテゴライズされるのを嫌う彼らの真骨頂。
打ち込み音源とスクラッチと管弦楽の調和。
クライマックスへ向かってうねりを上げていく中、ベスは中心で煙草を喫っている。
(彼らの音楽と関係ないが、ベスは脚が長い)

DVD、VHS、CD、LP、すべてのフォーマットで持っているものは、これしかない。
それくらい好きだ。

ブリストル系は一時期トリップホップと同義になってしまっていた。ブリストルという田舎町がイギリス音楽界につけた傷跡は、あまりにも深い。スロッビング・グリッスルポップ・グループから、ワイルド・バンチを経たマッシヴ・アタックが繰り出してきた新しい音の系譜。ポップ・グループの中心人物だったマーク・スチュアートも、マッシヴ・アタックも、キャリアと共に攻撃性を強めてきた。ポーティスヘッドも、そこにいる。

Portishead公式サイト
MySpace:Portishead
Wikipedia:トリップホップ
HMV:Portishead/Third

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コメント

lilla様
ポーティスヘッドもご存じなのですか、うれしいです。私は稀にDJをすることがあり、そのときのセットリストは冒頭にポーティスヘッドの“Cowboys”です。そんな私も30をとうの昔に過ぎてしまい、おまけにマーケティングでは中年男性のM2層にカテゴライズされる歳になりました。

演奏クオリティを求めていったらバンドメンバーじゃ力不足でバンドは分解してゲストミュージシャンを30人集めて「ナイトフライ」を作り上げたドナルド・フェイゲン。15年前から作り始めたアルバム「ホロスコープ」をいまだに仕上げられないブライアン・フェリー。11年ぶりのアルバムは時代遅れとなっていたポスト構造主義のスクリッティ・ポリッティ。そしてレコード会社を移籍して15年が経つというのに新譜が出ないとは一体どんな契約なんだと思ってしまうマイ・ブラディ・ヴァレンタイン。それぞれ理由や状況は異なりますが、楽曲と演奏と録音のすべてにこだわる人はリリースのペースが異様に長くなりますね。できなかったら出さない。はっぴいえんどは映画「ロスト・イン・トランスレーション」のサントラに収録された曲がとても音が良かったです。アニバーサリーエディションもいいですが、全部リマスターしてほしいものです。

昔、徹夜でコピーライティングの仕事していたときに煮詰まって、ぼやきを書きつつJ-WAVEにフェイゲンの「I.G.Y.」をリクエストしたことがあります。ファクスを送ったらすっきりして仕事に専念できたのもつかのま、すぐに名前を言われてぼやきまで朗読されてしまって曲が流れました。で、翌日クライアントのところへ行ったら、クライアントも聴いていたということがありました。しかしそこはさすがクライアント、愚痴のことには全く触れず「あんなの聴いたら眠くなるだろ、ナイン・インチ・ネイルズをリクエストしてやろうかと思ったよ(笑)」と言われました。送られてきたコーザ・ノストラの鈴木桃子さんのサインは、友人にあげました。

おお

新作が出たとは!それは聴いてみなくては。
HMVに「新作を待っていたら30過ぎた」なんていうカキコミが書いてありましたが、もはや大瀧詠一かドナルド・フェイゲンか、という境地に彼らは達したのでしょうかね(笑)。冗談ですが(笑)
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