■バンドワゴンの誤謬

ある人物や商品が「これから来る」という噂が立つ。
実際に生活者はそれを選びはじめる。
みんなが選んでいるのだからそれは良い、となる。
そしてそれはさらに市場を拡大していく。

たとえば、幽霊は存在するか、しないか。存在を証明できたことはない。
対して、存在しないことも証明できたことはない。
(存在しないことを証明するのは非常に難しい)
でも多くの人が「たぶんいないだろう」と思っている。
それはなぜか。
自分以外の人で、いないと思っている人のほうが若干多いからだ。

ひとりで「幽霊はいるのか、いないのか」を徹底的に検証し、
自分なりの答えを出したことがある人は、非常に少ないはずだ。

論証の材料は、アンケートであることが多い。
グラフが突出している答えを見て
「ああ、これがいいんだ」と思うだけ。
なんら真偽を検証するのではなく、ただ多数決に流れる。
あの店が美味しいから、いちばん美味しい店はあそこ、
福田はチンパンジーだからもう駄目、
カフェっぽいインテリアなら椅子はこれ、
この歌が流行っているから聴いておかなくちゃ、
いまパソコン買い替えるならこれ、とかなんとか。
雑誌を見てもそうだし、詳しい人に聞いてもそうだし、店員もそう言う。
それで決まり。

逆に言うと、ものを売る、ブレイクするには、
メディアでいちばんにしてもらって、
詳しい人、できれば影響力のある人を取り込み、
小売対策をしっかりしていればいいだけである。
商品そのものの質などは問われないのだ。

某料亭も、そうやって薄氷の上に立っていた。
真の価値を解せぬ人たちを相手にしていたのだから、
料理を使い回すことなど何でもない。

何かを購入しようとしたとき、よく似たものがたくさんある。
品質も、価格も、見た目も。
どれでも良いなら、売れているものを選ぶ。
差がないのだから、売れているか否かでしか判断できない。

「そう思っている人が多いから、そうなのだろう」
ということの繰り返しなわけです。

これはマスコミュニケーションの戦術のひとつだ。
口コミも、そのひとつ。
「なんかよくわかんないけどさ、あれ売れてるみたいだね」
という、自分は当事者ではないというポーズをとっていながらも、
相手にとっては「そうなんだ、売れてるんだ」となるケースは多い。
まんまと策にはまっている。

バンドワゴンの誤謬がうまくいったとき、バンドワゴン効果が生まれる。

漆器の世界だと、現在ふたりいる。

反対に、弱い/負けることが明らかなものを選ぶ層が形成されることがある。
で、勝ってしまうことをアンダードッグ効果という。判官びいきだ。
きっかけは、人と違うものを持ちたいとか反骨心とか、
これの良さはわたしだけが知っているとか、いろいろある。
でも、それもまたバンドワゴンの誤謬によって動く結果に過ぎない。
どれが少数派か判らなかったら行き場のない情緒行為だからだ。
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