スパークリングウォーター



要は発泡水、炭酸水。昔から昼ご飯のときに飲むのが好きでした。お店で「お水ください」と言うと水道水に氷を入れてウォーターゴブレットで出してくるお店は問題外で、ミネラルウォーターのボトルに浄水器を通した水を入れてワインクーラーで冷やしてフロアに置いているお店もやっぱり問題外としても、かつてはイタリアンだとサン・ペッレグリーノ、フレンチならペリエというのが定番というかそれしかありませんでした。でも最近はいろいろ入手できてうれしい限りです。イタリアにも軟水はありますし、炭酸の強さもそれぞれ。硬水でもきめ細かな炭酸だと、とてもおいしい(その最高級は「水のドンペリ」の異名を持つ)。軟水の発泡水も、まろやかでやみつきになります。
私の住まいへ遊びに来たことのある友人なら、カンパリをペリエで割ったりして飲んだことがあると思います。私はお酒をソーダで割るときにクラブソーダ的なものを使いません。味が全然違うのに価格は大して変わらないからです。

ミネラルウォーターと一口に言っても、さまざまな種類があります。中にはミネラルウォーターではなくナチュラルウォーターもあります。まじりっけなしの純なものが好きな日本人(シングルモルトとか純米酒とか、何も足さない何も引かないとか、日本はそれが良いという風潮があるように純粋な日本人の私でも感じる)なら、ナチュラルミネラルウォーターで決まりでしょう。後から炭酸を加えた発泡水など問題外ということになりますね。

ヨーロッパで水が商品として流通するようになったのは、ヨーロッパの水がとんでもない硬水なので飲用できる水を採取できるところが売り始めたからなんですね。なので日本では無用なものといえば無用なものなのかもしれません。ダイエットに効くとかいう売り文句で硬度の高さを競っている水もありますが、ヨーロッパに行けば、もっと硬度が高くて飲めない水が至るところで湧き出ているのかもしれないので、硬度ばかり気にするのは何とも微妙なところです。それに、硬度はある程度の目安にはなるけれど、成分によって舌ざわりや喉ごしが異なりますし、炭酸の強さやきめ細かさによっても大きく印象が変わります。

ダイエット目的で硬水を毎日2リットル飲んだりするのは体に良くないです。

画像の手前、いちばん左にあるロケットのような砲弾のようなボトルは、意外に思うかもしれませんし、いかにもと思うかもしれませんが、日本のミネラルウォーターです。採取地は修善寺。硬度56.6で弱アルカリ性の軟水。ボトルデザインは大御所カリム・ラシッド。「デザイン」の魔の手がミネラルウォーターにまで忍び寄ってしまっているんですね。

そろそろ世の中がデザイン過剰に思えてきている私は、こういうのを見るとやるせない気持ちになります。公式サイトのコンテンツに「デザイン」とあるから水のデザインって何じゃらほい、デザイナーズフードみたいなことをしているのかしらんと思ってクリックしたらボトルのデザインだった。どないやねん。水を売っているのか、デザインされたボトルを売っているのか。デザインされたボトルで売られているものは、むしろ中身なんてどうでもいいと思っているんじゃないかとさえ思うことがあります。言ってしまえば、飲み物のボトルなど、区別がつけばいいんです。ちなみにこれにも後から炭酸を加えたスパークリングがあります。そっちはガラスボトル。

かつては、いちばん奥のいちばん左にあるティナントがその嚆矢でした(真っ青なガラスボトルもあり、そっちも人気)。溶けかかった氷塊を思わせる凹凸が、握ればどこかで握りやすくなっています。これくらいなら、ペットボトルの形状を変えただけなのに水のボトルにふさわしいという感じで好感が持てました。しかし今は何でもあり。10年くらい経たないと、ミネラルウォーターのボトルは健全な状態に戻らないでしょう。そして結局、やっぱり古くから評価の高い水がやっぱりいい、ということになるような気がします。つまり「デザイン」なんてなくていいんです。

いちばん奥、左から二番めのVOSSなどは、すでに10年前の香水のボトルのような古くささ。消費物に成り下がってしまいました。そんなくらいならデザインなどしないほうがいいという優れた見本です。ちなみにこれのボトルデザインはカルヴァン・クラインのクリエイティブ・ディレクターを努めたニール・クラフト(横文字多用な時点でうんざりします)。ckの香水と色づかいも似ています。そして驚くべきことに、デザインしたのは2002年です。

こうしたボトル(たいがいプラスチック)が似合うスタイリッシュで最先端で洗練されて薄っぺらいお店よりも、昔ながらの緑色のガラス瓶が似合うお店が好きです。デザインなど皆無、でも上質で居心地良い空間で、料理もまともです。内装は誰だとかDMのデザインが誰だとか、はったりに付き合うのが疲れているのかもしれません。

発泡水は日本にもあります。画像手前のほう、ペリエに似たかたちの青くて小さなボトルのaWa心水。採取地は会津。明治時代から宮内庁御用達だったそうです。これは気分的な問題だけではなく、やっぱりお鮨などに合います。これくらいデザインに力を入れていないほうが好感を持てます。

ノルウェーのVOSSとイギリスのティナントと渋谷の会社が手がける修善寺のロケット型は無発泡。他はすべて発泡水。ぜんぶ喉ごしが異なります。食事のときに飲むのが好きなのは、硬水で、炭酸が強く、きめ細かなやつ。カンパリやウォッカを割るときに好きなのは、軟水で、炭酸が強く、きめ細かでないやつ。

画像の他の水は、Sant Aniolがスペイン、ピレネー。硬度299でPHは7.3。いまのところ私が世界でいちばん好きだけれど最近ちょっと疑問ももたげてきている飲食店であるエル・ブジ(エル・ブリ)では、このサンタニオル。思い出がてら飲むわけです。サン・ベネデットがイタリアのベネチア、スイオはイタリア中部のラツィオ、パラディーソはイタリア北部のポセニア、Valsはフランス南西部、OGOはオランダ、マットーニはチェコ、ヤムニツァはクロアチア、ボルセックはルーマニアの水でハプスブルグ家御用達。リンク先をご覧になればお判りの通り、日本法人を持つところもあります。

いつもこれだけ常備しているわけではなく、目についたものを購入していて、いまはこういうラインナップということです。小売価格が500mlで1000円を超すシャテルドンは、一度レストランで飲んだことがあるだけです。

とかなんとか言いながら、同時に私は、水を輸入するということに微かな違和感を覚えます。さすがに水は国境を越えたらまずいだろという気がしないでもないのです。しかし「水分」は、水を貿易禁止にしたところで牛肉や果物で生産国から失われていきます。金属だって水を使わないと作れません。そんなわけで、私にはどうするのが良いのか判りません。

住まいの近くの水だと、石川県小松市菩提町の観音水が好きです。ここは非常に有名なところで、いつもクルマが何台も駐まっています。標高300メートルくらいでそこそこ高く、排気ガスや鉄塔の影響も少ない場所。甘い水、甘露という言葉がふさわしい、すばらしくおいしい水です。ただし、これも往復でガソリンを2リットル使うので、2リットルや3リットル汲むくらいなら近所のスーパーで商品となったミネラルウォーターを購入したほうが地球に優しいということにもなります。

とかいったことを考え始めると、結局は水道の蛇口から出る水をいただくのがいちばんってことになっちゃうんだよなあ、軟水だし、炭を入れて沸かせばふつうに飲めるし……でも発泡水が好きなんだよなあ……困ったもんだ。


観音水の駐車場からの眺め。
小さな湖のほとりに建ち並ぶのは、片山津温泉の旅館群。

他に好きなのは小松市新保町にたくさん湧き出ている生水のひとつ。
名前もないし場所も説明しづらいので、こちらを参照してください。
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コメント

lilla様
こんにちは。コメントありがとうございます。

東京の水道水も測定値から察するに相当おいしいらしいですね。都市部のほうがちゃんとしているのでしょう。ちなみに私の叔父は関西で浄水器の会社をやっていて、浄水器といっても家庭の水道に取り付けるようなものではなくマンションを建てるときにシステムを組み込むような大がかりなやつなんですが、やっぱり浄水器を通すと変わるんですよね。うさんくさいのがたくさんいる業界なので、いろいろと誤解を解くだけでも大変そうではあります。

ペリエは炭酸が粗いですね。お酒を割るのに向いていると思います。現地フランスでは、ペリエではなくバドワという発泡水が最も普及しています。こっちのほうがさらっとした炭酸です。また、はっきりと塩味を感じる発泡水もあります。塩味ブームなので人気急上昇中です。

先月、イタリアから日本人とオランダ人がお越しになり、ついでなので山中温泉を軽く案内しました。で、日本人は温泉を口に含んだのですが、オランダ人は手も触れませんでした(ちなみに彼は日本酒も飲んだし欧米人が好まない海草のもずく酢も食べた日本通です)。生の水を飲むという習慣のあるなしだなあと実感しました。温泉は飲用に良いけれど、お茶やコーヒーや紅茶や料理にはからっきし向いてないです。せいぜい卵をつけておくくらいが関の山でしょう。

温泉は何となくブームが地味に続いており、全国33の温泉をミストタイプの化粧水にした商品まであります。発泡水も味が違っておもしろいですよ。その違いに気づかない人は、クラブソーダでいいのかもしれません。


kyokyom様
こんにちは。コメントありがとうございます。

あまりお酒を飲まないkyokyomさんだからこそシングルモルトなのか、すすめられるがままシングルモルトになったのかは判らないですが、私はそういうのを渋く飲むことができないので、似合う方がうらやましいです。私、シングルモルトのショットとかですと、わんこそば状態になっちゃうんです。少し前に話題となった「モッタイナイ」っていうのは、まさにこのことです。

割るなら軟水、チェイサーなら硬水がいいような気がしました。単なる思いつきです。実際どうなのかは判りません。

浄水器のことは信用しています。リトマス試験紙で水質をチェックして、駄目だったらフィルター交換すればいいだけです。浄水器を使っている飲食店を信用しきれないんです。かつて私がアルバイトしていた飲食店(客単価3000円の店から2万円の店までさまざま)では、少なくとも私がアルバイトしていた期間(短くて1年、長くて2年)は一度もフィルター交換したことがありませんでした。私の部屋(ものすごく小さくてちんけな流しがある)の蛇口には、何もついていません。できるだけシンプルに、というのが私の生活信条です。私の部屋にはゴミ箱もないですし天井の照明もありません。

関西で叔父が浄水器の会社をやっていて、とはいっても家庭の水道に取り付けるものではなくてマンションなどを建てるときに組み込んじゃうようなものなので「取り付ける」のは難しいというか、ぶっちゃけ買えないのではありますが。

先日、能登の輪島塗を手がける人たちの仕事場へおじゃましてきました。その中のおひとりは、住まいを自分で建て(それくらいならあまり珍しくない)、今は毎朝水を500mくらい歩いて汲んできています。奥さまが年齢よりも10歳は若く見える肌で、ご本人も「すべすべになった」とおっしゃっていました。そういえば、叔父の娘も、シャワーで使うと髪がどうのこうのとむかし言っていたような記憶があります。きしむのは水が原因でもあるんですね。

心は孤独な狩人、よく入手できましたね。おめでとうございます。というかうれしいです。これは数年前に某掲示板で「おまえに絶対合う、絶対好きな小説だ、絶対手に入れろ、絶対読め」と絶対的に言われたものです。私が希求しているけれど適わぬものを抉り出された気がして、本読みのソムリエ的技能ってすごいなあと思ったのでした。苦しくても不安でも、それら「孤独」にまつわるさまざまな状態を描き出しているのでそのまま読むのがいいと思います。人と人は関わり合っているもので、それはmixiのように友人の友人というふうにつながっている。とはいうものの、突き詰めれば結局やっぱり独りなんですよね。っていう考え方の小説ではありますが、それをそのまま地の文で書いちゃうような日本の小説とは段違いに読み応えがあり、よくできていて、丁寧で、あったかいと私は感じましたよ。

こんにちはv-34
この前初めてショットバーに行ったときに、すすめられるままのシングルモルトを頼んだらそのあとすぐにチェイサーは軟水?硬水?と言われて硬水を―とわけもわからず頼んでみました。
そういえば、水と言ったら浄水器の話題には触れていらっしゃらないので、ああいうものはあまり信用されていらっしゃらないのかなあと思いました。

ところで今「心は孤独な狩人」を読み始めたのですが・・・自分の読み方にちょっと苦笑気味です。
いえ、作品自体今のところとても興味深く読み進めています。面白いです。
でも途中でミックがパーティの準備をしているときに・・・実はこのあと招待したはずのクラスメートが誰も来なくて不思議に思ってクラスメートの家に行ったら実はみんながひそかにそこでパーティの用意をしていて、すすめられるままに天井からぶら下がったくす球を割ってみたら豚の臓物が落ちてきて血まみれになって皆に大笑いされた、とか・・・そこまでは今思いついたのですが、とにかくなんだか不吉なことが起きるのではないかと思って勝手にどきどきしていました。
やはり昔からの癖が抜けずにストーリーの展開を追う読み方になってしまいがちですが、とにかく面白く読めているようですv-332
なんだか一方的な雑談をしにきてしまいまして失礼しました。

水関係の仕事をしている知人がいますが、
最近の水道水なら、かつては悪名高かった大阪あたりの水でも
エビアン並みの質なのだと言われたことがあります。
(水についての仕事ということで怪しげなものを薦められるのではないかと心配だったのです)

ペリエは初めて飲んだ際、海水かと思いました。

日本のものですと「飲む温泉水」というのが数種売られていますが、なかなか味の違いがあっておもしろいですね。
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