TANTO TEMPO

先日新宿でリビング・デザインセンターOZONEの杉原さんと何ら打ち合わせせずに楽しく食事した。いきなり話は逸れるが、杉原さんと私は打ち合わせするようなビジネスが発生したことがない。彼は全国の伝統工芸産地からひっぱりだこの敏腕プロデューサーというかプランナーでありコーディネーターだが、私は私が納得するものを作っていきたいと考えていて、ものづくりとは商品戦略そのものであり、その一要素である新商品開発やデザインや生活者の消費動向やライフスタイル分析などの些末事については興味がない。というか、それより大事な話題が世の中にたくさんある。ちなみに杉原さんも最近の世の中はデザイン過剰と感じている。で、話を戻すと、翌日逗子葉山へ行くことを杉原さんに話すと、おすすめの食材店を教えてくれたので翌日ではなく二日後に行った。トンネルのそばにあるパン屋のボンジュールの向かいに、タントテンポはあった。
ケースの中にはプロシュート、コッパ、パンチェッタ、そしていろんなサラミ。チーズもある。そして自家製のアンチョビバターやバーニャカウダやレバーペーストなども豊富にあって試食できる。さまざまな豆や胡椒なども無造作に並んでいる。おまけに安い。安いというか、まっとうな価格だ。ローリエは、軽く40枚は入って150円。マスタードシードは105円。ピンクペッパーは50gで560円。つまり、パラダイスである。イタリアなのでパラディソか。

お店の人は「スローなコンビニ」と自称している。そんな感じ。
どんな感じなのかはサイトをご覧ください。

葉山のピッツェリアで昼ごはんを食べてすぐだったし、かと言ってすぐに帰宅するのでもなく冷蔵庫に入れるのは夜中になるので、泣く泣く保存の効くものを選んだ。黒七味、ドライトマト、ローリエ、白胡椒。ついでに店先に「空き瓶です、ご自由にお持ちください」と書いてあった籠から空き瓶をもらってきた。デリカテッセンでピクルスなんかを購入するときに容れ物として使える。同行者も何やら購入していた。杉原さんから聞いて、と主人に話すと、チョコをふたつくれた。なめらかで深い味のチョコだった。

1万円札を1枚持ってこの店にいけば、1か月笑って暮らせる。

帰宅した翌日、私はワイン会なる催しで小浜へ行くことになっていたので、料理はふんだんにあることが判っていたのだけれど何があるのか判らないのでドライトマトだけ持っていった。大きくて重くて甘くて旨味たっぷりのドライトマトたちは、1分で食べ尽くされた。ワインの美味しさを知る人たちなので食事の経験値も高い人たちだろうから、美味しいと全員が絶賛してくれて翌日になっても余韻に浸るように話す人までいて、なぜだか私も誇らしかった。ちなみに、そんなドライトマトは300円。オリーブオイルに漬けて、そのまま食べたり料理に使ったりというささやかな私の願いも消え去った。

こういう店が近所にあるのはうらやましい。さすが葉山。
石川県加賀市には、異国の食材店といえば韓国食品店しかない。

杉原さんが私を異様に褒め称えた文章はこちら



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コメント

lilla様
さすが、良い雑誌をお読みになられていらっしゃる。
実は、敏腕アートディレクターは「家庭画報」の海外版「家庭画報インターナショナル」のエグゼクティブ・エディター兼クリエイティブ・ディレクターで、東京にオフィスがあります。

家庭画報インターナショナルの編集企画で、敏腕アートディレクターが日本の伝統工芸をめぐる旅のようなことをやりました。石川県のコーディネートは金沢市のひがし茶屋街でジュースバーも経営しているお洒落なコーディネーターが間に入り、山中漆器の事務局のようなところに話が来ました。

で、山中漆器に惚れ込んだ敏腕アートディレクター、何か作りたいということになり、富裕層に向けた、金に糸目をつけないチェスということになったのでした。

山中漆という表記は、たぶん英語表記を日本語にうつしたからでしょうね。確認不足のイージーミスかと思います。それが何かが判れば名称にこだわることもないと思いますが、ミスリードしてしまうのはちょっと何ですね。経産省伝統工芸指定、つまり正式名称は「山中漆器」で、私もふだんそう言っています。「山中塗」は、あくまでも俗称です。ちなみに山中漆器の人間国宝は、カテゴリが「漆芸」ではなく「木工」です。

私ですら、東京の古くからの友人から「kotaって九谷焼の作家だっけ?」っていまだに言われます。もう最近はめんどくさいので「そうだよ、で、話は変わるけどさ、」って感じです。

>山中ではニューヨークの敏腕アートディレクターがデザインしたチェス

そういえば美容院で手に取った「家庭画報」(その美容院には他にまともな雑誌がないので…)に少し載っていました。でも「山中漆と九谷焼」と書いてあって、山中塗の名前が一回も出てこなかった。読んだ人は「山中漆」という材料と九谷焼、と思ったかも。
ある程度の教育を受けた富裕層~中の上層の年配の女性を一応ターゲットにした雑誌だと思うんですが、この程度なのかな、とちょっと思いました。

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