イタリアからのボロネーゼ



イタリアからお越しになった方からいただいたパスタとチーズで、ボロネーゼを作ってみた。要はミートソースである。簡単ではあるが時間がかかるので、ストーブの上に鍋を置いておけばいい冬に作ろうと思っていた。
どこそこの店が美味しい、あそこは駄目だ、なんていうのは品のない話ではありますが、私もその手の話は大好きです。ただ言うだけなら誰でも言えるし、言ってる中身やレベルによってお里が知れることも承知しています。私は、自分で作るよりも美味しいところが美味しいです。あたりまえか。

いただいたのは、チーズはパルミジャーノ・レッジャーノのかたまり。パスタは“Anelli Giganti”アネッリ・ギガンティ、なのかな。直径3cmもある。100種類以上のパスタを食べた私も初めて見た。ゆで時間は20分の手ごわいやつ。太いショートパスタには、肉の入った濃厚なトマトソースが合うはず。なので基本のボロネーゼ。

材料;
前菜もメインも食べる場合の、だいたいのふたりぶん。

パスタ(太いの)……150g←もらいもの
たまねぎ……1個←自家栽培
にんにく……1片←自家栽培
にんじん……1/2本←自家栽培
牛挽肉……150g
トマトピューレ……たっぷり←自家栽培の自家製
赤ワイン……そこそこ←500円くらいのイタリアワインでじゅうぶん
ローリエ……1枚
鷹の爪……常識的には1本←自家栽培
パルミジャーノ・レッジャーノ……好きなだけ←もらいもの
クルミ……適量というには少々多め
オリーブオイル、塩、胡椒……適度に

ほんとうは上記にセロリ1本とローズマリー1本も加わります。
でも私はセロリ嫌いですし、ローズマリーはうっかり忘れました。
ほとんどのレシピ本やリストランテでは、牛挽肉は上記の半分以下。

包丁、まないた、鍋2つ、フライパン。
あればチーズおろし。

0
いくつかの店でボロネーゼを食べる。
どの店が良いのか判らなければミシュランガイド日本版なんかを読む。
指針を持っておく。

1
ソフリットづくり。
にんにく、たまねぎ、にんじんをみじん切り。
セロリがあればセロリも。
ミキサーやカッターを使うと小さくなりすぎる。
にんじんは中心部にえぐみを持っているので、
完璧に洗練された味にしたいなら容赦なく取り除く。
鍋にオリーブオイル、にんにく。
香りが出たらたまねぎ、にんじん。
弱火でひたすら炒める。
辛めが好きなら鷹の爪を切らずに投入。
ストーブの上なら2時間。
鉄鍋とストーブならまめに混ぜなくてもいい。
コンロで鍋ならひたすら混ぜる。だいたい1時間。
それがめんどくさいので、小さなみじん切りがはびこる。
原型をとどめなくなったら、いちおうできあがり。←point!
透明とか飴色とかは、まだまだ甘い。
力を入れたら潰れてペースト状になるくらい徹底的にやる。
そうすると野菜の香りと甘みがとてつもないことになる。
塩胡椒はしなくていい。←point!


これが


こうなって


こうなって


こうなる

2
鍋にオリーブオイル、にんにく。
牛挽肉を炒める。
ここで「混ぜながら」ってなってるレシピが多い。
しかし混ぜてはいけない。←point!
動かしたい気持ちを抑える。
平たくフライパンにまんべんなく配置したら動かさない。
強火でありながらじっくりと、ただ眺める。
肉の表面をしっかりと焼く。
すべては肉の旨味を逃さないため。
ローズマリーがあれば加える。
脂が出てきたらキッチンペーパーで吸い取る。←point!
ランプ肉などを挽いてもらった場合は不要。
いい感じになったら赤ワインを加えて煮詰める。
できれば一晩寝かせる。


動かさずに焼くと脂が出てくる


これくらいまで脂を吸い取る


これくらい赤ワインを入れる

3
1と2を合わせる。
軽く混ぜ合わせる。
トマトピューレ、ローリエ、塩、胡椒。
具合を見て水も加える。
中火→弱火。
地道にあくをとる。←point!
トマトからトマトソースを作っても可。
でもそれはそれで数時間かかる。
いっそトマトソースでもいいけれど風味が違う。


手前のほうの水気のないところがドライトマトペースト

4
パスタをゆでる。
たっぷりのお湯に、割と多めの塩。
パスタ100gに2リットル。
あとは100g増えるごとに1リットル増える。
塩をしっかり入れないと、表面がぬるっとしてしまう(塩析現象)。
ゆでるときはゆっくりとお湯を動かす。
しかしながら混ぜてもいけない。←point!
せっかくつけてある表面のでこぼこがなくなる。
軽く沸騰するくらいの火力を保つ。
鍋の中をいじくるのではなく、火力をいじくる。
フライパンのあくとりは続ける。
両方がベストのタイミングになったら絡める。
パスタからゆで汁をしっかりとなくす。
絡めるときは火を止めた鍋の中で。
オリーブオイルを加え、塩胡椒で味を調える。
パスタのゆで汁は不要←point!



パルミジャーノ・レッジャーノをすりおろしておく

5
食べたいだけ皿に盛る。
パルミジャーノ・レッジャーノをかける。
クルミ(できればローストしたもの)を砕いてかける。
神に祈って食べる。


牛挽肉のトマト味であって、カレーのルーのようなものではない

イタリアンパセリやバジルを散らしたくなる気持ちはやまやまだが、我慢する。

最初の画像では、ソフリットをトリッパの煮込みでも使ったので、たまねぎが2個になってたりするので要注意。でも、野菜がたくさん入っていれば入っているほど美味しいし塩分は最後に調節するので画像の量だけ入れてもいいです。しかし、それだけの量を原型をとどめていないくらいまで弱火で炒めるのは面倒だと思います。ストーブで鉄鍋なら放置しておいても焦げることがないですし、ちょっと目を離していると「えっ、こんなに量が少なくなるの?」ってくらいいい感じになります。ル・クルーゼなども簡単に美味しくできるでしょう。

ソフリットを作り置きしておけば、パスタをゆでる時間で、そこそこ美味しいものができあがります。そのときは市販のドライトマトのペーストを入れると良いでしょう。手っ取り早く煮詰めた感が出ます。

あくまでも肉が主役なので、トマトソースがカレーのルーのような感じで、その中にぽつぽつと挽肉が漂うようではいまいちです。そりゃまあ確かにトマト味だね、でも肉だよ、っていう具合がいいです。ばらしたハンバーグというか、そぼろ煮くらい肉だらけな感じです。それなのにしっかりとトマトソースの味がする、というのはやっぱり煮込みまくるしかありません。これは「挽肉入りトマトソース」ではなく「ミートソース」なのです。

騙されたと思って牛挽肉を炒めるときに混ぜないでみてください。スーパーの何でもない挽肉が「俺はいま肉を食べてるんだ!」って気分を満喫できる料理に変貌します。脂と一緒に水分も吸い取るので、それだけトマトが肉に染み込みます。で、しっかりと焼けています。ばらす必要などありません。つなぎのない平たいハンバーグみたいなものができるのが理想。ころころのつぶつぶです。ふつうリストランテではパスタ80gに対して牛挽肉は25gから30gくらいです。しかし私はパスタ150gに牛挽肉150gと同量。野菜も倍以上の量を使っている。つまり、お店で食べるよりも高くつきます。

バターや牛乳を入れるのが正統レシピという説もあってボローニャでもそんな感じのようですし、私のバイブル“THE SILVER SPOON”のp283“Tortellini Bolognese”でもバター25gと書いてありますが、私は赤ワインでこくを出すのが好きなので上記のようになりました。こくの別の方向性を出すなら、パンチェッタやベーコンを加えるのも美味しいです。

さらに腕に覚えのある人は、牛肉を買ってきて自分で挽肉にすると良いでしょう。部位を選べば余分な脂をとる手間も省けます。私はそこまでやったことがありません。好きなところをその場で挽いてくれる、ちゃんとした肉屋の近所に暮らしたことがないからです。

今回はスペインの生ハム、ハモンセラーノを足しました。
味が締まってそのぶん奥行きが出ました。
よって、塩は全く振っていません。
脂と塩で濃くすることは簡単です。
でもそれは決して肉と野菜の旨味を引き出すことではありません。

パスタは食べ応えがありました。
ゆで時間が20分ということからもお判りの通り、分厚い。
チーズのソースも合いそうです。

前菜は、冷たい前菜が生ハム(ハモンセラーノ)とイチゴのサラダ、そしてオリーブ盛り合わせ。温かい前菜は、炙った舞茸と、ゆでたブロッコリー(と茎)とじゃがいもにペコリーノチーズを白ワインでのばしたものをかけたもの。


メインはトリッパの煮込み。


私の作り方だと、田舎のイタリアンはもちろんのこと、リストランテで食べるよりも高くつく。ふつうはそんなに材料を入れず、薄くのばしてさっと仕上げるからだ。脂を吸い取らず、トマトソースたっぷりで量をかせぐ。自分で作るといっても、煮込むだけなので超簡単、ほんのちょっとのこつさえおさえ、時間をかければそのへんのお店よりも美味しくできる。

参考文献:
THE SILVER SPOON Phaidon
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コメント

i様
新しい記事がアップされましたのでそちらをご参照ください。

トリッパの煮込みはソース多くない?
レシピよろしく。

lilla様
あけましておめでとうございます。
こちらこそよろしくお願いいたします。
長ったらしく書きましたが、要は
「挽肉を炒めるときにかき混ぜない」
「脂を吸い取る」
これだけなんですよね。

これはすごい

あけましておめでとうございます。

このレシピ、早速刺激的です、やってみます。

それでは今年も宜しくお願いいたします。

kyokyom様
あけましておめでとうございます。
こちらこそ、絡みづらいブログにコメント沢山ありがとうございます。
言いたい放題なので、良く言って
「まあそういう考え方もあるよね」とか
「いろんな人がいるもんだなあ」
くらいのものですがよろしくお願いします。

食べ物のことを書くからには、
読む人の喉をどれだけ鳴らせるかが肝心だと思います。
でなければ書いてネットで世間に発表するほどではないですから。
何がどう美味しいのか、それは何故なのか、
そのあたりを明快にしないと無意味な気がします。
とはいってもこれは私の性格的なものです。
そして、食べることに関しては、
実体験に勝るものはないとも思いますし、
美味いもんは美味いとしか言いようのない、
という世界があることも一方では理解してはいます。

そんなわけで、いろいろ実際に試してみて、
調理法の違いでどう味が変わるかを蓄積していくしかないです。
味の指針がないまま、レシピを読んで作る。
それでたまたま美味しかったとしても、
ほんとはもっと美味しいかもしれませんし。

以前京都のステーキ屋でハンバーグを食べました。
つなぎが全くない、まさしく牛肉100%でした。
それはそれで確かに美味しかったです。
でもやっぱり、玉ねぎとパン粉の入ってる、
ふんわりとして甘味のあるハンバーグが好きです。
イタリアでもドイツでもなく、日本の「洋食」な気がするからです。
(つばめグリルのハンバーグを食べたくなってしまいました)

たまたま今日ある人とハンバーグの話題になり
「ハンバーグにチーズをのせた人は天才だよ、
 鉛筆に消しゴムつけた人とは次元が違うよ」
と私は言い、またわけのわからないことを言ってるね、
って感じで微笑まれました。毎日そんなあほです。

鉄のフライパンをお使いとはすてきですね。
最近は中華鍋もチタンが増えてきて、
調理器具も軽量化の波がすさまじいです。
しかしながら鉄は鉄の良さがあります。
味に直結するさまざまなことはもちろんのこと、
油が少なくて済むし、焦げません。
それに長持ちしますし。

美結様
あけましておめでとうございます。
コメントありがとうございます。
世界が平和でありますように。

ハーブをいろいろ入れると幅というか方向性が増えて、
よく言われる「深み」や「香り」が増しますね。
豚肉とトマトも相性抜群ですね。
ふつうに焼いた豚肉にトマトソースでも美味しいですし。
ビタミンも豊富なので豚肉のほうがいいような気もしてきました。
ル・クルーゼの鍋、ほしいです。

粉ものの炭水化物は腹もちが短いですね。
なのに700kcalくらい平気で行きます。
摂取カロリーは、毎日気にするのではなく、
一週間単位で総摂取カロリーを見るのが精神的に健康な気がします。
たくさん食べた翌日は少しにする、
お酒を飲んだ翌日は胃を休める、
私は一週間で2万kcalを超えなきゃいいやって思っています。

あけましておめでとうございます
旧年中はお世話になりました。
色々なことについて教えて頂いてとても刺激的で楽しかったです。今年もどうぞよろしくお願いします。

それにしても・・
す、すごいですね、想像しただけでごくりとのどがなりそうです。
そういえば以前タカコ・H・メロジーという人の本で、イタリアのハンバーグはつなぎも玉ねぎもいれなくてただ挽肉を楕円形にととのえてこねずにあとは火を通すだけというのを読んだことがありましてなんとなくそれを思い出しましたが、それはほんとうにハンバーグなのかなあって疑っています。でもおいしそう・・。
kotaさんの紹介して下さっているボロネーゼなら並のレストランではかなわないだろうなあって私でも想像できましたv-10
あ、鉄の鍋お使いになっていらっしゃるのですね。僕も鉄のフライパンを持っています。油との相性がとてもいいみたいで、鉄のフライパンでつくると玉子焼きなんかが油っぽくならないので重宝します。
しかし鉄の重さにはへこたれそうになります^^


あけましておめでとうございます
幸多い年になりますように
今年もよろしくお願いします。

このレシピにセロリ、トマト缶、トマトケチャップ、オレガノ、バジル、ローリエが入るのが、我が家のミートソース。
分量も同じくらい。
赤ワインもかなり入れます。
ということは、豚肉だけど、何になるのかしら?
煮込む料理はル・クルーゼのお鍋です。

小食ではなく、運動はしないので、太ります(反省)

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