象印のステンレスボトル



エコな人における三種の神器といえば、エコバッグ、マイ箸、マイボトル。私は一周してしまってエコを意識しない人間。というか、現在すべてのエコはビジネスなので乗っかるつもりは毛頭ない。せいぜい白髪まじりなくらいである。ペットボトルもアルミも再利用しているのだから自販機やコンビニで購入するのもそんなに悪くないことだと思うし、ペットボトルが消えたらパタゴニアは何を材料にフリースを作ればよいのか途方に暮れるだろうし、何だか貧乏くささやセコさを隠すエクスキューズのようにも思える場合も見受けられる。そして何よりも「マイボトル」を購入することがエコではない。資源を使い、物流によって排気ガスを出し、包装もゴミ。いちばんエコなのは、ペットボトルを洗って中身を入れることでしょう。新たに何かを購入することと、ひとつのものを使い続けることとは、全然違う。カナダからの手紙ナイジェリアの手紙くらい違う。
 
マイボトルだか水筒だかは、単純に水分を外へ持ち運ぶときに利用しています。たいていは自分で作ったアイソトニックドリンクを自転車やランニングのためのボトルに入れ、クルマに置いておく。信号待ちのときなどに飲むには最適の機能性だからです。前を見たまま飲めます。何といっても自転車乗りは自転車を運転しながら飲んでいるのだし、トレイルランナーも山道を走りながら飲んでいるのです。しかし今回取り上げるのは狭い範囲のアクティビティで本領を発揮するそれらではなく、ふつうの水筒です。

山へ行ったときにいれたての加賀棒茶を飲みたいと思ったら、カップラーメンを食べたいと思ったら、どうするか。多くの人は、携帯コンロとコッヘルを持つだろう。でも私は、何日も山を縦走することが今のところない。熱湯を熱湯のまま持ち運べば、いちばん荷物が軽い。となると、保温性が最も優れたボトルを持てばいい。というわけで私はいつも私がそうであるように、とことんいろいろ調べた。登山家が持つようなごつくて重いのは初めから選択肢になかった。

とことん調べるまでもなく適当に調べてみたら、人気のサーモス(テルモス)よりも、日本では高度成長期からおなじみの象印のほうが高い保温性を備えていた。ちなみにサーモスも現在は日本のメーカーである。象印といえばヒントでピントで、大学時代、仲の良い演劇学科の同級生がアシスタントをしていたので嫌いではない。女優志望だった彼女にとって唯一のテレビ番組のレギュラー出演。名前は出なかった。象印の魔法瓶か何かを持ってにっこりするだけの役割には名前など不要だからだ。それでも私たちは、彼女の頑張り(演技の勉強をすることは勉強なので頑張りではなく、芸能界で活躍するためには他の「頑張り」を要する)を知っていたのでうれしかった。

話が逸れたので戻すと、私が使う象印のタフスリムSV-GF50は、沸騰したお湯を入れれば、3時間後は92度でふつう。しかし、6時間、12時間と時間が長くなるにつれ、だんとつの保温性を示す。12時間後で73度。サーモスの中で最も保温性が高いのは私が調べていた当時に知る限りだとFDM-501で、12時間後は68度。エコな人が持つマグ形式のJMK-350などは46度と、もはやぬるま湯で玉露も淹れられない。それだけ違う。しかも象印は象印なので安い。ネットで見つけたところは送料を含めても1500円しなかった。おまけにキャップがついていて、キャップがコップになる。昔ながらの水筒だ。日本の工業製品はさすがである。

私にとって「良い水筒」とは「かっこ良い」ものではなく「性能が高い」もの。
そして、丈夫なこと。



朝9時ごろ山に入り、12時にはカップヌードルの機能性食品バージョンを食べ、15時ごろにお茶を飲んで休む。ちなみに街へ下りてくるのは18時ごろで、多くの登山者がそうするように私も温泉に入る。カップヌードルのスポーツ機能食バージョンは「スポーツヌードル」というそのまんまの名前で、流通も一般の食品とは異なるためコンビニやスーパーにはない。スポーツ用品と同じ流通チャネル。燃焼系回復系があり、当然私は回復系を食べる。せっかくのエネルギーを無駄に燃焼しちゃったら疲れてしまうではないか。「効率よく脂肪燃焼」とか「アミノ酸ダイエット」とかいったものは、私にとっては敵である。さらに話は逸れるがカップヌードルにはいくつかのバリエーションがあり、スポーツヌードルもそのひとつ。

入手しやすいものは航空機の機内食として提供されるやつで、これはちゃんと気圧が低い上空数千メートルで摂氏100度に達していないのに沸騰してしまう低温のお湯でもだいじょうぶなものになっている。なのでこれを山へ持っていくのもありかもしれない。あと有名なものとして自衛隊用の「SDFヌードル」があり、これは単に味が濃い。SDFというのはセルフ・ディフェンス・フォースの略で、つまり自衛隊。宇宙食としては「スペース・ラム」を開発した。お湯を注げばオッケーという手軽さゆえに、さまざまな状況において「お湯を注ぐだけ」で完結するものを開発するのはすごいなあと単純に思う。山で食べるインスタント麺の戻りが悪くても「だって山だから」で済ませちゃうことだってできる。さすが航空機のエグゼクティブクラス利用客は要求度がお高い。ちなみにJALが日清で、ANAは東洋水産です。ついでにコープヌードルも日清が製造しています。おまけに蛇足だけれどコープとAコープは全くの別物です。



逸れた話が長くなって恐縮だが、日清食品の創業者安藤百福氏は毎日昼ごはんにチキンラーメンを食べていたそうである。体に悪いジャンクフードというイメージが完全に定着しているカップラーメンだけれど、安藤百福氏は自ら食べて96歳まで生きた。食品会社ならあたりまえのことのように思えるのだが、自社製品を毎日食べている食品企業のトップなんて稀である。某パン製造会社の社長などは「何が入っているか分からないし人間の体に毒なんです。自分じゃ食べません」とかつて入社案内の制作で取材した私に言い放った。日清食品も、安藤百福氏が亡くなってから当然のごとく何かが失われてしまい(ホンダやパナソニックと同じである)、私はインスタントラーメンを食べるといったらイトメンチャンポンメンか火の国熊本とんこつラーメンを選ぶことが多い。前者はラーメンとは異なる食べ物として秀逸だし、後者はラーメンとして美味しい。

熱いのは3時間後にカップラーメンを食べることができるくらいでじゅうぶん。
では冷たいのはどうかというと、5度の水を入れて6時間後に9度だった。
口が広いので氷を入れることもでき、もっと冷たい飲み物を飲むことができる。
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