いちご煮の炊き込みご飯



長靴などをいただいたりしながら今年の誕生日も滞りなく過ぎ去り、先日最後の誕生日プレゼントが青森県より届きました。潮汁といえば海に面した街ならどこにでもある漁師飯です。うちの近くでは、鱈やゲンゲ(白幻魚/カンテンゲンゲ)や鯛やオコゼが多いです。つまり、捕れたものを食べてるわけです。青森は、雲丹と鮑という豪華版。雲丹が、朝靄の中に浮かぶ苺の実のように見えるため、いちご煮と名づけられたそう。風流ですね。しかも味まですばらしい。そのまま吸い物でもいいけど炊き込みご飯がおすすめということで、新米もいただいたし、作ってみた。
ざっと検索すると、炊き込みご飯なので炊き込みご飯のレシピから外れなければ割と自由なようである。醤油や味醂まで足しているのもあった(それではせっかくの潮汁が台無しではないか)。というわけで、缶詰のタブを起こして蓋をちょっとだけ開けて、数滴味見してみた。うーん、うまい。海の味だね。で、できあがり予想図を設定し、そうするにはどうすれば良いかを組み立てた。つまり、いわゆるレシピである。

私がいただいた 「味の加久屋」のいちご煮の材料は、缶詰ラベルの表記によると「魚介類(ウニ、ロコ貝、アワビ)、帆立貝エキス、かつお節エキス、ネギ、食塩、シソの葉、調味料(アミノ酸等)」となっており、鰹節が入ってんなら椎茸を足せばいいか、そんで岩塩振って塩加減を決めればいいかと考えた。せっかくの白い潮汁。よくある薄茶色にしちゃうのはもったいない。じゅうぶん味あるんだし。

1.米を水に浸しておく。浸したらざるにあける。

2.缶の蓋をちょっとだけ開けたところから、中の液体だけを軽量カップに移す。
で、ふつうに御飯を炊くときの水分量まで水を足す。



3.米と液体と自家製加賀の干し椎茸を鉄鍋に入れ、岩塩を回しかける。これはまた改めて取り上げたいと思っておりますが、御飯を最も美味しく炊けるのは丸底の鉄鍋です。土鍋で炊いた御飯が美味しいと思うのは、炊飯器で炊いた御飯を食べ慣れているからであり、その差に過ぎません。もちろん、感覚的には炊飯器を3とすると土鍋は9で鉄鍋は10って感じで、土鍋と鉄鍋の差は大きくありません。そして、鍋の形状でも大きく違いが出ます。これは主に熱効率っていうか対流の問題です。ではなぜ土鍋ばかり広まって鉄鍋は殆ど語られることすらないのかというと、重くて取り回しが女性だと面倒なのと、水に浸したり炊けた御飯を入れっぱなしにしておくと錆びたりするメンテナンスの手間によります。

4.この鉄鍋で一合だと、3分くらいで沸騰してきます。そしたら最も弱い火力にします。あとは、湯気が出なくなったら火を止めればいいだけです。しかし今回は炊き込みご飯。絶妙なタイミングで具材をのっけなくてはなりません。なので、傍目から見ると「そんなに何度も蓋を開けてだいじょうぶ?」と思っちゃうくらい蓋を開けてチェックします。湯気など気にしません。水蒸気ってやつが液体の何倍の体積になるかを考えれば、蓋を開けてぶわっと広がる湯気なんて、そんなの実は誤差の範囲内なのです。

5.湯気が出なくなってから、焦げた香ばしい匂いが漂うまで、その間に、自分の好きな炊け具合があります。そのタイミングで火を止めます。私はお焦げがあまり得意ではないので、割と早めに止めちゃいます。あとは、寒い冬ならバスタオルかフリースブランケットかで鍋をくるんで、蒸らしです。火の前に立つと汗がにじんでくる今の時期は、そのままコンロの上に放置でかまいません。鍋蓋の穴は、菜箸か何かで塞いでおきましょう。

6.蒸らしの間に、おかずや味噌汁を作ります。もちろん、炊いている間に始めても何ら問題ありません。



7.炊けたら、ざっくりと底からこそげ取るように混ぜるのが良いけれど、炊き込み御飯の場合は何が正解なのかまだ私は知りません。具材の下1cmくらいからしゃもじで取り、鉄鍋の蓋に移し、御飯だけになったそれを混ぜています。そして器によそったら、鉄鍋の蓋に移しておいた具材メインの箇所をのっけます。具材とお米が混ざってるのが美味いという意見もありますが、食べるときに混ぜればいいんです。カレーライスです。「混ぜ御飯」ではないのです。

8.いちご煮の炊き込み御飯には、青紫蘇の細切りがお約束とのことで、そうしました。



9.神に祈ったり死んだ雲丹や鮑やキノコなどに感謝して食べます。

いちご煮の炊き込みご飯、ひじきや牛蒡などの胡麻和え、トマトの昆布締め、わかめの味噌汁、梅干し。
器は応量器。自分が作っている器を自分で使わないのは話になりません。



とんでもなく磯の香りがして、御飯にしみこんでいて、これはほんとうに美味しい。ぺろりと一合食べちゃいました(いつもは晩御飯だと半合)。毎日これでもいい、と思える料理が私にとって美味しいか否か。これは毎日これでもいいです。おまけに青森は鮪や帆立やホヤもあり、にんにくと長芋とリンゴも有名で、マタギ飯もあるし源たれもある。かなり私の好みである。万が一私が山中漆器から津軽塗に鞍替えしたら、漆器の都合ではなく食べたいものの都合と思って間違いありません。

いちご煮の缶詰は、通販でも各社のものを購入できますし、東京でしたら築地の近くに青森県特産品センター があり、飯田橋に青森県のアンテナショップ「あおもり北彩館」東京店 があります。リニューアルしてからまだ1年も経っていない、割と本気のアンテナショップだと思います。

ちなみに、苺を煮たもの=イチゴジャムの炊き込み御飯も想像とは裏腹に美味しいらしいです。

※私がいただいた180gの缶詰で、一合炊いてちょうど良い感じでした。最も流通している、トマト缶くらいのサイズのやつだと、二合でも三合でもいけるみたいです。青紫蘇は細切りよりも、手でぶっちぎってばさっとのっけるのうが美味しいのではないかという気がしました。次回からは多分そうします。また、昆布を足してもいいような予感がしておりまして、次回からは多分そうします。あとは、生姜や擂り胡麻などを足してみて、味がどうなるかいろいろやってみるような気がします。そして元に戻るかもしれません。
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