愚浄山房展



お知らせするのが遅くなりました。24日から、とてもすてきな場所での展示会が始まります。
 

岐阜県、郡上八幡。長良川が流れる城下町。400年間唄い踊られる郡上おどりの街。そこに、愚浄山房はあります。避暑地として、迎賓館として、多くの賓客が訪れた建物。のちに菊池寛が「愛水荘」と命名。1944年には谷崎潤一郎が訪れています。1947年、郡上八幡城の再建に携わった郡上八幡の棟梁水谷氏により、茶室と田舎家が建てられました(ちなみに郡上八幡城は復興天守としては珍しく、木造です)。そして、愛水荘と合わせた屋敷全体を、武者小路実篤が「愚浄山房」と名づけました。ということからも解るように、文人や文化人に愛された場所。

ふだんは一般公開されておりません。



そんな場所で、着物を主とした展示会が開催されます。あまりにすてきな空間なので、着物だけではなく工芸品も、というわけで漆器は私に白羽の矢が飛んできて射抜かれました。誠に光栄でございます。26日と27日は茶室「山心亭」ではお茶とお菓子をいただけるようで、お茶とお菓子はもちろんのこと、華や道具などもすてきなこと間違いなしだと勝手にイメージしております。そんなわけで、茶道具も少し持っていきます。

愚浄山房展を主催している横山様も中島様も、既にうちへお越しいただいております。補助金もないのに加賀までいらっしゃる、そういうのはとても大事だと考えています。こちらとしても有り難く、ちゃんとしようと思います。メールで連絡もらって、エクセルかなんかでリスト作って、物を送って、っていうのは確かに便利で効率的です。でも、そんなの「実は何もやっていない」に等しいのです。というわけで、私も24日だけですが、愚浄山房におります。だって、着物も観たいし他の工芸も観たいし、建物も観たいですから。

中京の方は、私の漆器はともかく、ふだんは一般公開されていないこの場所へ、ぜひ足をお運びになってみてください。


郡上八幡 愚浄山房展
2012.5.24(木)-28(月)
11:00-19:00(最終日は17:30まで)
岐阜県郡上市八幡町小野211

きものギャラリー睦月 愚浄山房展
呉服なか志まや ブログ



以下、ちょっとした裏話。この建物は、誰もが知ってるチェーンストアが、店舗建築用に土地を購入したんだけれど、更地にするのはもったいない、こんな素晴らしい建物は残すべきだ、と保存したものです。直すのにだいぶお金がかかったそうで、でも飲食や小売や宿泊などの商業施設にするには更に改修が必要で良さが台無しになる、というわけで「そのまんま」です。そこが素晴らしく、稀少です。だいたいみんな、入館料をとって、維持にどうのこうの、ってのばかりですからね。一般公開しない、という決断は、とても勇気が必要なことだと思います。

同じように、一般には知られていない場所で、富裕層は買い物したり食事したりしています。百貨店が凋落している、でも富裕層は存在する、では富裕層が買い物するのはどこか、って話です。たとえば、幅4メートルあるソファがリビングにあるような住まいには、どんな食器が合うのか。そんなの、いまの百貨店じゃ分からないのです。漆器の世界も、高額な漆器といえば豪奢な蒔絵というワンパターンというか単細胞。無地で、500万円のテーブルに「最適」な漆器を生み出すような理論など持ち合わせていないのです。私は前職の経験を活かし、あらゆる層にぴったりな漆器を「デザイン」することができます。まっとうな素材を使い、最善の方法で。蒔絵などのない無地の汁椀で、3,000円から15万円まであります。どれもが、商品にして世に出す意味のあるものです。作り手や売り手の都合ではなく。それこそが「ひとりひとりに合った器」です。

それは、いろんな種類、数があるけれど、ほしいものがない、という事態に陥っている、百貨店などで画一的に並ぶものとは、全く異なるのです。
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