グランズレメディ



足のニオイが気になって、ブーツを脱いで座敷に上がるのを嫌がる女性が少なくないと気づいたのは、私が大学生になってからのことだった。ならば何らかの対処なり改善なりをするのが本筋なのではと思うのだけれど、どうもそういうのはやらずに、ただひたすら靴は脱がない、と意固地になっている節さえ見受けられた。足が臭いのは恥ずかしいし迷惑をかける。だから脱がない。というのでは、何の解決にもなっていない。
 


大人になってからの半分以上をブーツで過ごしてきた私。足のニオイを気にしたことなどは、なかった。数年前から靴下は主にメリノウールだし、くさくならない。まっとうな社会人らしい革靴は履かないけど、真夏でも革のブーツということもある。革の靴は、きちんと手入れしないといけない。で、あるとき、お気に入りのブーツが、くさくなった。雨に濡れて水が染み込んで、乾かしもせず脱ぎっぱなしにしておいたもんだから、バクテリアが繁殖したのだろう。ヨークシャーテリアなら嬉しかったかもしれない。それはともかく、私は、グーグル先生に尋ねてみた。簡単に答えが見つかった。ミョウバンの粉末を靴に撒けばいいのだ。

そんなわけでミョウバンなんて廉価なものだし、靴を収納する棚(それを人は下駄箱と言う)には常にミョウバンの粉末がジップロックに入ってる、という期間が長く続いた。しかし、ミョウバンよりも強力なものがあるとの噂を聞き、入手してみた。それが、グランズレメディ。靴の消臭はこれがベストなようだ。まあその、ミョウバンからグランズレメディ、あるいはその逆パターン、というのが些か珍妙な話であることが、このブログ記事をお読みになっていけば判ります。グランズのレメディ、すなわち「おばあちゃんの治療薬」という名前。昔からの知恵、というニュアンス。ニュージーランド生まれというのも嫌いではない。むしろニュージーランドは好きだ。



特に何の感慨もわかない、ありきたりなパッケージ。


真っ白な粉が容器に入っている。思わず、ガラステーブルの上に細い線をひくように粉をあけ、アメックスのセンチュリオンでさらに細かく砕き、また整えて、片方の鼻の穴を指で抑えて、とかやってしまいそうな見た目だ。内蓋の上に匙がついている。その匙1杯ぶんを、靴の中にぶちまければいい。適当に靴をトントンしたり、持つ向きを変えたりすれば、靴の中全体に粉が行き渡る。1週間ほど毎日ぶちまける。それで効果は半年持続するらしい。匙1杯が何グラムなのか判らないけれど、1足で1週間使っても、4人家族の靴なら全部消臭できそうなくらいの内容量だ。なので独り身であり靴を大して持っていない私にとっては持て余す量なわけで、うちへ遊びに来た友人の靴の中にもぶちまけている。おまえの足は臭い、と言ってるわけではない。誤解なきよう。



白い粉。かなり細かい。


これはほんとうに凄い粉だ。くさくならないだけではなく、さらさらになる。菌が、いない。それを実感できる。未使用の靴に戻ったかのようだ。菌による劣化を防ぐわけだから、確かにそうなのだろう。うれしくなってランニングシューズやトレイルランニングシューズにまで撒いたどころか、水中で履く靴にまで撒いた。全くの無意味である。しかし、1週間連続で毎日撒き続けると、靴の中が粉だらけになってしまう。私の場合はせいぜい2日連続で撒いた靴もあった、という程度だった。

素材マニアの私なので、もちろんこの白い粉の原料もチェックした。何と、主としてミョウバンである。500グラム400円くらいで売られている、あれである。私がグランズレメディを使う前に使っていた、あれである。草木染めで使う、あれである。体臭を消すためのデオドラントアイテムでは「アルム石」と呼んでたりするのは、聞き慣れない名前だと稀少性を持つからだろうし、ミョウバンなんて言っちゃったらありふれたものになっちゃうからだろう。


指紋が残るくらいの、マットなテクスチュアで、細かい。


さて、そんなグランズレメディとミョウバンの両方を使った結果、この決して廉価ではない白い粉(50グラム2390円)は、ミョウバン(500グラム400円)の59.75倍の価値はあるのか否かという話になるわけだが、私は、あると思う。まず、ミョウバンだけの場合よりも確実に効く。お気に入りの靴が、お気に入りなだけによく履いたもんだから臭くなってしまった、なんていう場合には、グランズレメディを1週間続けてみればいい。たぶん、だいたいの靴なら、無臭になる。私が冬になったらほぼ毎日履いてるソレルのブーツは、臭くなる前からグランズレメディを使っていたので、何のニオイもしない。恐ろしいことに、ブーツの素材の匂いもしない。ゴムや革の匂いまでもが、しない。そこに入れる足も、匂いがない。足に塗布するデオドラント商品よりも、足自体にも効いてるのではないかとすら思う。

日本での販売価格は2390円あたりだけど、アマゾンの並行輸入品なら1790円。物は同じなので、これでいい。わずか1790円で家族みんなの靴が無臭になるなら、格別高価なものでもない。ブーツで蒸れる女性も、加齢臭漂うお父さんも、家族間のぎくしゃくした関係が修復される。お父さんはお父さんとしての威厳を取り戻し、ブーツを履く娘は何の心配もなく表でブーツを脱いで遊び回れる。そう考えれば、何という廉価なもの、コストパフォーマンスに優れたものだろうか。

もちろん、ミョウバンのほうがハイコストパフォーマンスなんだけどね。でも、多くの物事がそうであるように、50点から60点に上げるには価格を1.2倍にすればいいけれど、90点のものにするのは1.8倍では済まない。数十倍の価格になる。オーディオだってそうだしカメラだってそうだしクルマだってそうだし料理だってそうだし漆器だってそうだ。なので、単純に割って比較するものではない。60点のパスタでいいなら、60点のパスタでいい。90点のパスタが、60点のパスタの20倍の価格だとしても、私はおかしいとは思わない。グランズレメディは主にミョウバンで、そこにタルク(タルカムパウダーの「タルカム」)、酸化亜鉛、などをブレンドしている。そしてニュージーランド政府の安全証明書が発行されている。自力でグランズレメディを作ろうとしたら、かなり大変な手間と、そこそこのコストがかかる。という意味でも、決して高価ではない。

ちなみに日本の正規輸入品(3780円)は、効果が不満なら返品できる。もちろん100%返金される。
また、小さな話ではあるが、スプーンを紛失したら、無料で送ってくれる。



靴の中。カビてるわけではなく、グランズレメディが残存している様子。


足が臭いわけでも靴が臭いわけでもない私が、なぜこんな安くないものを購入し、使用し、このようにブログでおすすめしているのかというと、私にとってこの手のものは「臭くならないように」使うものなのだ。掃除という行為が、部屋をきれいに保つためであるように。散らかっていたり汚れていたりしてからの掃除は、大変だ。埃まみれになってるわけじゃないから、まだ掃除しなくていい、という考え方(あるいは何も考えていない)は、日々の整理整頓すら疎かになる危険を孕んでいる。グランズレメディを使っておけば「くさくない、でも、くさくなるかもしれない」という一抹の不安を抱えた生活から、おさらばできるのだ。長期の出張や旅行でも、山岳縦走でも、夏の雨の夜に座敷へ招かれても。その安心感を獲得すれば、変な汗も出ないので、相乗効果である。

足が臭いのか、靴が臭いのか。
後者なら、これがあれば他は何もいらないです。
前者なら、足に塗布するデオドラント商品があります。
(それもやっぱり大抵はミョウバンなのだけれどね)

グランズレメディ公式サイト
Amazon.co.jp:グランズレメディ
Amazon.co.jp:グランズレメディ(並行輸入品)
Wikipedia日本版:ミョウバン
Amazon.co.jp:ミョウバン 500g


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