Tim Hecker Virgins



2013年に出たアルバムでいちばん好きなのは? という問いには、これとお答えしておりました。2000年ごろのクリックテクノやグリッチテクノの勃興で登場したティム・ヘッカー。そういうのだったらアクフェンがギミックたっぷりで好きだった。ティム・ヘッカーは、すぐにアンビエント、ドローン、ノイズ、といったような言葉で形容される、一時期のフライング・ソーサー・アタックが描き出した世界を、さらなる純度で創出した。エレクトロニカというより、私にとっては上質のサイケデリック。
 


ジャケットのアートワークそのままの、なんだか不穏な雰囲気が全編に漂っている。アンビエントミュージックに禍々しさを付加したティム・ヘッカーらしいアルバム。単にピースフルでドラッギーな「サイケデリック」をイメージして聴くと、見事に裏切られます。彼自身が言うには、彼の音は「構造化されたアンビエント」「色つきの構造プレート」だそうで、構造主義が大好物の私にとっては、とてもたまらない表現。そして、そうした「表現」が薄っぺらくないのは、彼が博士論文で「都会とノイズ」について書いたことからも判る通り、極めてアクチュアルなアプローチによって織りなされる音世界であり、まさしく理論と構造に裏打ちされた音だからなのです。ありがちな、つまらない「アンビエント」や「ドローン」とは正反対。ひたすらかっこいい。



アンビエントでドローンなので、いわゆるリズムはありません。
そして、耳当たりの良い音色で出来た心地良い癒し系のBGMとは全く違う音色が折り重なっている。
だからこそ美しいし、聴き入ることもできるし、なんとなく流しておくこともできる。
というわけで、2013年は、このアルバムがいちばん多くプレーヤーのトレイに乗った。

Tim Hecker公式サイト
Amazon.co.jp:Tim Hecker Virgins

なんと、Youtubeで全曲聴けます。ちゃんとしたオーディオで聴くのとは雲泥です。しかし、何の試聴もせずに購入しちゃって聴いて後悔する方がいらっしゃると私の心も痛むので、試聴してみてください。

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