帝国繊維のリネン100%ノンパイルバスタオル



タオル。それはパイルがあることこそタオルなのであろうか。そもそもタオルとは何か。というところから考えてしまう逸品。タオルにとってパイルは、必要条件でも十分条件でもなかったことを、実際に体験すれば強烈に実感できます。そして、一度この快感と性能を知ってしまったら、もうフカフカのタオルには戻れなくなるかもしれません。
 


リネンは、麻のひとつ。「ベッドリネン」「テーブルリネン」という言葉があるように、シーツやカバー、テーブルクロスやナプキンなどは本来リネン麻でした。それはなぜかというと、麻は綿に比べて頑丈で耐久性があり、コシが強いので汗ばんでも肌にまとわりつかず、熱伝導率が高いので熱がこもらず、通気性に優れていて、水分の吸収発散に優れていて、乾きが早く、ニオイがつきにくい、といったように良いことずくしなのです。唯一の難点は、綿に比べて高価なこと。それだけです。麻は肌ざわりがザラザラしていて駄目、とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。それは恐らくラミーです。大麻(ヘンプ)が栽培禁止となったので、事実上日本の麻栽培は壊滅し、ラミーだけとなってしまったのです。神事にも欠かせぬ植物なのに。いわゆる「シャリ感」は、このラミーによるところが大きいように思えます。もっと粗い「ジュート」もありますけどね。マニラ麻やサイザル麻になると、またちょっと違うものだったりします。リネンは、とっても滑らかで、使えば使うほど、洗濯すれば洗濯するほど、さらに柔らかくなっていきます。色は、麻といってイメージする薄いベージュではなく、白です。

「ランジェリー」の語源も、リネンだったりします。
「ライン」の語源も、リネンだったりします。

そんな麻なので私はベッドリネンを全て麻にしています。20年前からです。夏はもちろん、冬も。というのも、寒い北陸の冬といっても、やっぱり就寝中にはコップ1杯ぶんの汗をかいているわけで、かいた汗が放出されなければ明け方に蒸れた水分が冷えて熱を奪われて風邪をひいてしまうのです。化学繊維は暖かいかもしれません。でも、蒸れて不快で、ぐっすり熟睡できません。初めて購入したのは、当時はそんな人が割といたのでありきたりですが、南青山のカトリーヌ・メミでした。フラットシーツは10年以上使いました。

そんなわけでタオルについても綿麻混のタオルを愛用していたのですが、それはやっぱり分厚くて「俺はいまタオルで体を拭いているんだ!」と実感できる分厚いものや、近年人気の軽くてふわっふわのものだったりして、それらは使い心地が悪いわけではなくむしろ気持ちよいものなのですが、それでもまだそれらが「綿のタオル」の延長線上でしかなかったことを、帝国繊維のノンパイルタオルを使って思い知ったのです。



こんなに薄くて体が拭けるのか、見た目は非常に心細い。広げてみると、テーブルクロスのようだ。話は逸れますが、テーブルクロスをかけている飲食店って減りましたね。テーブルそのままがほとんど。かけてあるとしても、使い捨ての紙だったりして、クロスがあればナイフフォークを置けるし、パンだってそのまま置ける。昔は、特にどうということのない喫茶店でも真っ白なクロスをかけていた気がするのだけれど、気のせいかもしれない。それはともかく、このタオルはとても薄い。パイルがないのだからあたりまえなのだが、これは薄い。言ってしまえば、ただの布。畳んでくるくる巻けば、片手で掴むことができる。これで、バスタオルなのだ。それに、テーブルクロスとしても使えなくもない。

織りはサテン織りで、さらに光沢があって滑らか。
ちなみに帝国繊維のリネン100%ノンパイルタオルには他にヘリンボーンとオックス織りがあります。
織りで選べるというのも、ノンパイルのタオルならでは。

タオルで体を拭くとは、どういうことか。パイルに水分を吸わせるのだから表面積が多いほど吸水量が多いと思うかもしれない。ある側面では、真実だ。だが、そんな常識を軽々と覆すものも広い世の中には存在する。こんなに薄い「布」が、身長182cmの私の、そして数年前までは髪が腰に届くくらい長かった私の、全身を拭いてくれるのだ。しかも、素材はリネンだし、この薄さ。乾きの早さは尋常ではない。サイズは68×120cmで、これはもう完全にバスタオル。

一回使ったバスタオルは洗濯するか、また翌日使うか。これは目玉焼きに醤油かソースかくらい意見が分かれるもののひとつ。もちろん毎日替えたほうがいい。でもそれは面倒だから「まだいける」という何の根拠もない確信を基に、翌日乾いたそれをまた使う。ここで危険なのは、綿だとニオイが出てくるし、汗や脂を分解してくれない。むしろいろんなものが繁殖する。対する麻は、清潔さを保つ。麻に含まれている成分のひとつペクチンが、汚れをはじくのです。一週間くらい同じバスタオルを使う人こそ、リネンがおすすめ。



パイルのないタオルは、感触が新鮮です。私たちは幼い頃から「タオル」で体を拭いてきました。パイルの柔らかいクッションによる感触が、タオルなのだと体に染み込まされています。ノンパイルの「タオル」は「布」です。それが一体どのようなものなのか。これはもうこのタオルを使ってみないと解りません。綿の布とも大違いですから。

薄いことのメリットは、使うときにもあります。爪の根元などの狭い箇所も、薄ければ届きます。
風呂上がりに肩にかけても、重くべたつくことがありません。

帝国繊維はオンラインショップもあり、たくさんのタオルが揃っています。その中でも、リネン麻の良さをいちばん実感できるのは、このノンパイルのタオルでしょう。この気持ち良さと潔さを知ってしまったら、ふかふかで分厚いタオルが愚鈍に見えてしまいます。そして、パイルのないタオルは、パイルがないからこそ、パイルが摩耗しません。何年使っても、見た目は同じ。リネンなら、さらに良い雰囲気になっていきます。優れた天然素材には、育てる感じがありますね。

ちなみに、こし、はり、ぬめり、しゃり、しなやかさ、ふくらみ、といった「風合い」には、基準があります。その基準を満たしていないと、ほんとうは表現できません。また、リネンの最高峰アイリッシュリネンは、現在ありません。市場に出回っている「アイリッシュリネン」は、他の国で栽培から紡績までされた糸を、アイルランドで織っているだけです。正確には、アイルランド産のリネンではなく、アイルランド製のリネン製品、というわけです。もしまだほんとうのアイリッシュリネンが糸なり生地なりで存在していたら、とんでもない値段がつきます。

リネン製品については、もうひとつご紹介したいものがあります。
今年中にご紹介できればと思います。



帝国繊維オンラインショップ:リネン100%ノンパイル サテンストライプバスタオル
帝国繊維オンラインショップ:リネンショップ テイセン

布生地Q&A:布生地に関する質問と答え
BOKEN品質評価機構:繊維の基礎知識
みやこの部屋:繊維の種類
AQA:麻について・アイリッシュリネンとは
生地屋:サテンとは(朱子織とは 繻子織とは)
滋賀県立大学工学部材料科学科:風合い評価のためのエクセルファイル


帝国繊維は消防車のホースなどが主事業の企業で、リネンのホームテキスタイルは余暇のようなものなのかもしれない。なんとなく愛着があるのは、かつて石川県加賀市に「帝国繊維前」という名前の電車の駅があったからだ。もちろん私が生まれた頃には既に廃線廃駅となっているのだけれど。ちなみにその路線は、日本全国で見ても相当な早い時期に電車が走り(ちょうど100年前の1914年。首都圏でも現在の中央線が電化したばかり)、関西からの温泉観光客を運んでいた。ちなみに帝国繊維前駅の前は、絹紡前駅という名前だった。北陸の繊維産業華やかなりし頃の話である。いまは、村田機械(繊維の機械を作る企業)の工場がある。


(白を使っていたのですが、ナチュラルも購入してしまいました)


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