オノ セイゲン&パール・アレキサンダー/メモリーズ・オブ・プリミティヴ・マン



【The music】

もうずっと物理ディスクといえばSACDしか購入しておらず、おすすめの新譜を紹介することもままならぬようになってまいりました。しかし、その中でも、この人だけは圧倒的な音の良さで素敵な音楽を奏でてくれます。大好きなミュージシャン、オノ セイゲンの新譜。コントラバス奏者のパール・アレキサンダーとの連名です。
 

オノセイゲンが如何に特筆すべき「ミュージシャン」であるかは、七年前に長々と書いた。なので、もし興味を持たれたなら、そっちの記事をお読みください。優れたミュージシャンとは、或いは、そもそもミュージシャンとは、ということについて改めて考えさせられる存在だ。そんな存在は、恐らく日本でこの人だけではないだろうか。

1年間、スタジオで音を「完成」させていたらしい。凄まじいプロ根性、執念である。「余計な加工をせずにナチュラルなままで」とか言ってる「アーティスト」(おかしな呼び方だよね)とは比べようがない。そんなの、何も知らないと言ってるようなものだから。オノ セイゲンは、どういうふうにすれば、音を「そのまま」残せるか、というのを知っている。DSDでSACDという現時点で最高の音質で届けられる音色は、美しいとか綺麗とか自然とかいった「頭で感じる」までもなく、陶酔と恍惚を与えてくれる。現在私は5.1chで聴く環境にないため、泣く泣く2chステレオで聴いているが、それでも音質は明らかに違う。全然違う。



さて肝心の内容は、2014年に渋谷パルコで開催された「大恐竜人間博」での音楽を基となっている。なので、そんなタイトル。それで1年にわたって作り込まれたものがリリースとなった次第。少しトーンが落ちて、夜の街角という感じ。特に白亜紀っぽくもないしジュラ紀っぽくもない。話は逸れるが、「千葉時代」が生まれるかもしれない。ジュラもベルムもデボンもカンブリアも、地名なのだ。初めて欧州以外の地名が時代区分につけられるかもしれない。がんばれ千葉。話を戻すと、ぼんやり聴いていると(なんといってもアンビエントなのだ)馴染みのある「屠殺場酒場」だったかモントルーのライブだったかで何度も何度も聴いた旋律が、ふと耳をよぎる。靴音は、ピッチこそ違えど「コム デ ギャルソン」を思い起こす。オノ セイゲンの音楽に慣れ親しんだ者ならば「サウダージ」に全身が包まれること間違いなし。脳細胞が歓喜に震える。はじめてのオノ セイゲンとしては適しているのか否かは最早私には判りかねるが、室内の空気に音が浸透していく心地良さを堪能できる一枚。

このようなスーパーオーディオCDがあるから、いまだ私は音楽をクラウド化できず、物理的な場所をとって溜め込んでいる。とはいっても、オノ セイゲンの場合は、SACDよりも高音質のものを配信ダウンロードで用意してくれてるのだけれどね。ここまで自分でやっちゃうミュージシャンは、世界広しといえども彼ひとりだろう。



※四年前、御本人とやりとりするという僥倖に与りました。
 表記は「オノ セイゲン」に統一するとのことなので、そうします。
 (以前書いた記事も直し済みです)


SAIDERA PARADISO
soundcloud.com:Pearl Alexander

Amazon.co.jp:メモリーズ・オブ・プリミティヴ・マン
mora.jp:メモリーズ・オブ・プリミティヴ・マン ←驚異の5.6MHz/1bit これがハイレゾ

関連記事
SEIGEN ONO


関連記事