梨のリキュール 梨園 老松酒造



先日、長崎県波佐見、福岡県久留米、大分県小鹿田、別府、そして三浦梅園の旧家と宇佐神宮へ遊びに行ってきました。まとめて記事にしようか否かと思いつつカメラを持って行ったにも拘らずめんどくさくて持ち歩くこともなくカメラで1枚も撮らずにスマホで何も考えずにパシャパシャ撮るだけで終わり時は流れて細部が朧げになりつつあるけれど、いずれまとめたいとは思っております。それはともかく、そのとき、北海道の方から教えていただいたお酒が、梨のリキュール、梨園。日田の梨を使って、日田で造られている。この方のおすすめするものは間違いないので、日田で少々予定が狂ったのだけれど、別府の酒屋さん(その名も小谷)にあったので無事に購入した。
 

私はリキュールが好きなほうで、もちろんスピリッツも好きなのだけれど、スプーン1杯のリキュールを飲んで寝る、というのが自分には合っているようで、そうすることが多い。ロックで飲むこともあれば、ウォッカと混ぜることもあれば、炭酸水で割ることもある。若い頃はリキュールとリキュールを混ぜて未知の味わいを開拓していたが、そういうのはたいてい複雑怪奇なものになるだけで、やっぱりすぐに日本バーテンダー協会の公式レシピに従うことにした。レシピ通りでも味が全く異なるのだし、美味しいお酒を作るというのは並大抵のことではないし、ある種の才能も必要なのかもしれない。



それでも、果物のリキュールは、果物の果汁で割って飲むと美味しい、ということくらいは私もそれなりに知るようにはなっていたので(だがそれはリキュールを造った人に失礼でもある)、梨の酒なら梨ジュースだろというわけで、幸いにも梨が旬の石川県、簡単に豊水を入手できた。梨園に使われている梨は2種類で、そのうち1つが豊水なのだ。あとは、少しだけ炭酸水を加えれば良い。炭酸水は水に二酸化炭素を加えただけのものが良い。ミネラルを加えて炭酸にしたものはミネラルの味がついてしまっている。二酸化炭素で炭酸にした炭酸水は、結構どこでも売っています。セブンイレブンのもそうだし、サークルKサンクスのもそう。

とはいうもののラーメン屋に行って「高菜食べちゃったんですか!」と配膳している嫁が元気一杯に言うようなことはやっぱり間違いであるのと同じく、いきなり梨ジュースと炭酸で割るのもどうかというわけで、もちろんストレートで飲んでみた。いつものように、スプーンで。ふだん私がスプーンで飲んでいるリキュールよりも薄い。というか、いつも飲んでいるリキュールが濃い。フランジェリコやマリエンホーフなのだから。この「濃い」は、アルコール度数が高いというわけではありません。濃いのです。



そんな爽やかさが日本らしい梨園は、冷蔵庫で冷やしてストレートで飲むのがいちばん美味しい。ロックでもソーダ割りでも美味しい。でもストレートで飲んだときが、いちばん梨が広がる。口の中だけでなく脳裏や目の前にも梨が広がる。まさしく梨園にいるようだ。というよりも、梨の中にいるようだ。梨園をストレートで飲むためだけにグラスを購入したのです。甘くてとろりとしているだろうから、熱伝導率が低い中空構造で、ということは縁が厚くて、酒の味に影響の最も少ないホウケイ酸ガラスでできたグラスを。ちなみにそのグラスについては、これもまた後日取り上げたいと思います。



さてそんな日田の空気のように爽やかなリキュールなので、ウォッカを足して強めにしたくなるのはよくある話で、でもそうするのはありきたりで、爽やかさを保ちつつも「強い」ではなく「濃い」にしたい場合は、やはり同じ果実の果汁を足すのが分子調理学を持ち出すまでもなく最も変なことにならないのは明らかである。理想は同じ果樹園でとれたもの、究極的には同じ樹からとれたものになるのだろうが、そうなると2年がかりになってしまう。豊水が同じというだけでラッキーとすべきところだ。

あまり家電製品を所有していない私(冷凍冷蔵庫も洗濯機も電子レンジもオーブンもトースターも電気ケトルも食洗機もドライヤーもない)にしては珍しく、ジューサーとミキサーを持っていて、ありがちなことだけれど数回使って以降は収納されたままという状態ではあったが、というのも梨にしろ人参にしろバナナにしろ、そのまま齧って食べちゃうので、電力を要しないのだ。人力である。顎は動かした方がいい。で、久しぶりの出番と相成ったミキサーに、梨園を50ミリリットルくらい、皮をむいて種をとった豊水1個を入れて梨園の梨割りを作った。


これが


こうなって


こうなる

グラスに炭酸水をほんの少しだけ注ぎ、ミキサーの中身を加える。軽く上下にステアして完成。飲んでみる。ふわとろ。ふわとろですよ。梨だけのジュースでは、こうはいかない。ミキサーでクリーミーになったところに炭酸が加わり、炭酸は果汁を混ぜて泡立ったからしゅわしゅわ感があるかのようになる。狙った通りのところにできた。舌の上でとろける。しかしこれは危険だ。アルコール度数は12%と高くはないが、だからこそ飲み過ぎ注意である。アルコール度数はビールの3倍なわけで、こうして梨の果肉や果汁であると最早スプモーニのレベルにまでなるが、だからこそ飲み過ぎ注意である。とはいうものの、幸いにもこの飲み方は梨1個ぶんなので、飲む前から量が決まっている。しかしながら、これを飲み終えてから梨園のロックやストレートに手をのばしたら同じく危険である。危険である。



結局、開栓した日に飲んでしまった。

わけのわからないサワーや酎ハイを飲むくらいなら(缶の商品などは韓国製や中国製も紛れ込んでいます)、梨園と炭酸水のほうが遥かに良い。コストは3倍ほどになるが、価値は10倍も20倍もある。そして缶チューハイや缶カクテルは、分解できない。せいぜいグラスに注いでレモンを搾るのが関の山、ホワイトリカーとグレープフルーツと炭酸に分解などできない。リキュールなら、さまざまな飲み方が出来る。アイスクリームにかけても美味しい。もっとリキュールの楽しさが広まってほしいと思いつつ、あまり広まると私の飲む分がなくなるので困る(マリエンホーフも梨園も限定生産なのだ)。なのでブログに書こうかどうか一瞬迷ったのだけれど、もう既にマリエンホーフを紹介しているので同じことか、というかこのブログにおける酒の紹介は大して影響力がないので、自分で思っているよりも、どっちも大差ないのが実情である。

なので、書いた。

製造元の老松酒造は九州らしく焼酎がメインのようで、カクテルの腕に覚えがある人と共同でこの梨園を作ったそうだ。なのでカクテルに使うにも向いている。言われてみれば確かに向いている。おかしな癖や舌へのアタックがないのだ。爽やかでスムース。柑橘系にはあまりみられないが、林檎などで微かに感じる「青さ」も皆無。かき氷にもぴったりではないかと簡単に想像がつく。マリエンホーフの5分の1くらいの値段でここまでやるとは、さすが日本の酒造りである。


なしのお酒 梨園:オフィシャルサイト
Amazon.co.jp:梨園(梨のリキュール)
楽天市場:青葉台しんかわ(マリエンホーフが割と揃っている)

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