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増毛シードルとコトリアードとガレット



こないだ北海道から客人がお越しになり、手土産に手拭いでラッピングした増毛シードルを頂戴した。「ぞうもう」ではない。「ましけ」である。これは恐らく日本で一番美味しいシードルで、あまりの高価さに私なぞは手を出すことを考えることもなかったもので、つまりとてもうれしい。
 

増毛シードルは仕込み毎に味が異なり、ご丁寧にもサイトでロットごとの味の傾向を確認できる。頂戴したのは、43番と44番。シードルといえば痩せた貧しい土地の北フランス、ノルマンディーやブルターニュのもの。葡萄を栽培できない土地ってことです。ということは穀物も同様で、小麦は無理で、蕎麦。有名なのはガレットですね。そんなわけで、何を食べながらシードルを飲もうか思案し、冬の北陸なのだからコトリアードにしようと決めました。ブルターニュの郷土料理です。



フランスのスープというと莫迦の一つ覚えの如くどこもかしこも、ポトフかブイヤベース。あとはビスクといえば海老で、せいぜいオニオングラタンスープがあればましなほう。きちんとコンソメとってる店など皆無に等しい。それでいいのかもしれないけれど、それだけではないし他にも日本各地でフィットするスープ はある。どれも貧乏な家庭のオカンがささっと作ったもので簡単だし。ちなみに色んなマニアの私はフランスのスープマニアでもあり、パリ在住の方が美味しいポトフの店を探していたのでおすすめのパリの店を紹介したこともあります。それくらいマニアです。話を戻すと、何でも揃って何でも中途半端な東京なら何でもいいけど、ポロネギひとつ手に入らない北陸ならば冬の味覚の裏番長、鱈と牡蠣を使ったスープで、 南欧のブイヤベースではなく北フランスのコトリアードが最適です。なにしろトマトは夏の野菜ですから、無理して様式美に凝り固まって味のないブイヤベース など作る必要なんてないのです。

コトリアードは、魚介のスープ。フランスのスープに典型的な、固いパンを浸して食事とするもの。鱈と牡蠣で魚介の味を出し、ラードとバターで動物の味を出 し、ネギで野菜の味(ソフリット的なもの)を出します。簡単なので日本海側のビストロは冬のメニュに加えてみてはいかがでしょうか。鱈も牡蠣も石川のもの で、これで充分地元の味になります。切り身とは違って「輪切り」された鱈がひとつ百円しないなんて超ラッキーです。下ごしらえが手ごわいですけどね、蟹や 鰤よりも。で、たとえば北海道でしたらバターや玉ねぎも地元のものでいけますし、もっと普及すればいいのにと思います。玉ねぎ(ポロネギがベスト)とジャガイモをラードで炒め、水と白ワインを加え、沸騰したら魚介とローリエ、あくをとって良い感じになったら、バターと小麦粉を練り合わせたものをぶちこんで溶いて、とろみとコクをつけます。調味料は不要。塩コショウで味を整えるとかレシピにはありますが、バターに塩があるので惜しみなくバターを使えばそれでオッケーです。裏を返せば、バター の量はきちんとしないと味がびしっと決まらないってことです。しかしながらバターの量は小麦粉の量と関係するので、とろみ具合に関わってきます。そのへん の調和が、この料理のポイントです。料理のために白ワインを開けるのが何だかなあと昔から思っている私は、昔からシェリーを使っております。アサリのワイン蒸しなんて、シェリーならパセリもバジルも不要です。



華やかさはないけど、しみじみ美味い。深みがあります。潮汁みたいなもんですね。ポロネギではなく玉ねぎ、白ワインではなくシェリーの、コトリアード。器は鯉江明の深皿、シードルは拭漆のカップ。ランチョンマットにしているのは冨田潤のテーブルセンター。ブルターニュではシードルをボウルで飲むので、カップでもいいだろという身勝手なあれです。フルートグラスよりも、確かにこっちです。カップは2004年に発表したもので、以降、山中でも輪島でも他のとこでもパクりが雨後の筍で、入れ子になるサイズバリエーションまでパクられておりま す。でも、私のものが、最も耐久性があると自負しております。そして、同じサイズのものがスタッキングできるというのは、今のところ誰にも真似されており ません。そこまでやってこそ、デザインだと考えております。

その後、ガレットの美味しい馴染みの店へ事もあろうかシードルを持ち込んで、ガレットを食べながらシードルを飲んだ。窓の外は冬の日本海。ブルターニュっぽくもなくはない。ブルターニュではシードルをグラスではなくボウルで飲む。なのでカフェオレボウルをお借りした。



増毛シードルは、リンゴの味がする。当たり前のことなのだけれど、これはとても重要だ。だって、世の中リンゴの味がしないシードルばかりなのだから。増毛シードルは、きちんと甘いし、きちんと酸味もある。泡は、割ときめ細かい、という程度。でもそのカジュアルさが良い。とっても濃厚というわけでもなく、素直にリンゴの果汁が発泡性のアルコールになった、としか言いようのない味わいに浸りながら、北海道やブルターニュに思いを馳せたのでした。


増毛フルーツワイナリー:増毛シードル


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